Uber Eatsをやるために営業許可はいる?いらない?

今年に入って世界的に流行している新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、街中で”Uber Eats”の文字が入ったカゴを背負った自転車やバイクを見かけることが増えたと感じている方も多いのではないでしょうか。

好きな時間にできてやり方次第ではけっこうな収入にもなるということで、仕事としても人気が出ているようです。

さて、そんなUber Eatsの配達員のお仕事ですが、内容を考えると「お金をもらって物を運ぶ」という、いわゆる運送業の仕事と同じなので、「なにかしらの許可が必要なんじゃないの?」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

そこで今回はこの点についてごく簡単に解説してみます。

自転車なら許可不要

Uber Eatsの配達で一番よく見かけるのが自転車だと思いますが、自転車であれば許可は不要です。

もちろんUber Eatsに限りませんので、バイク便ならぬ自転車便のようなビジネスであっても許可は要りません。

バイクは必要なケースも

自転車の次に多いと思われるバイクでの配達ですが、実は一定以上の排気量のバイクを使用するには許可(厳密には「届出」です。)が必要で、「貨物軽自動車運送事業」の届出をする必要があります。

では、排気量が何ccから届出が必要かというと、125ccを超えると届出をしなければなりませんので、一般的な市販車でいうと250ccのバイクから届出が必要ということになります。

皆さんが目にする緑ナンバーをつけたバイク便は、この届出をしています。

排気量が125cc以下であれば特に届出などはいらないので、市販されている原付や原付二種(125cc)のバイクで配達を行うのであれば手続きは不要です。

車での配達には必須

いまのところ見かけたことはない(ぱっと見てもUbar Eatsの配達とわからない)ため、どの程度使用されているのかはわからないのですが、もし車を使って配達するのであれば必ず何らかの自動車運送事業の許認可が必要になります。

まず、軽貨物車や軽乗用車での配達のためには、バイクの場合と同様に貨物軽自動車運送事業の届出が必要です。

みなさんがよく目にするのは黒いナンバーをつけた「赤帽」でしょうか。最近は、「Amazon」や「ネットスーパー」で注文した商品の配達にも黒ナンバーをつけた軽貨物車をよく目にします。

貨物軽自動車運送事業の軽乗用車が使用可能に

貨物軽自動車運送事業は、これまでは、最大積載量の記載のある軽貨物車に限り使用することが認められていました。「規制改革実施計画」を踏まえて、令和4年10月27日より、軽貨物車に加えて軽乗用車でも、貨物軽自動車運送事業に使用できるようになりました。

軽貨物車の最大積載量は350㎏ですが、軽乗用車を貨物軽自動車運送事業に使用する場合の最大積載量は次の数式で計算した重量となります。

(乗車定員-乗車人数)×55㎏

乗車定員4名の車両の運転者1名のみが乗車した場合は、(4名-1名)×55㎏=165㎏が最大積載量となります。

軽乗用車を貨物軽自動車運送事業へ使用する場合は、あらかじめ最寄りの運輸支局へ貨物軽自動車運送事業の経営届出を行った上で、軽自動車協会において黒色の事業用ナンバープレートの発行を受ける必要があります。

また、ほぼありえないと思いますが、もっと大きなキャラバン・ハイエース・プロボックスなどのいわゆるライトバンを使って配達するのであれば、トラック運送業の許可(正式には「一般貨物自動車運送事業」といいます。)が必要になりますが、この許可をとるためには5台以上のトラックを持っているなど厳しい条件があります。

Uber Eatsに自転車を登録して、実際には自家用車で配達していた方がUber Eatsのアカウント停止処分を受けたという話もあるそうですが、法律違反にもなってしまいますので、そういった行為はやめましょう。

まとめ

このように一定の場合には許可が必要になりますが、私たちが街中で目にするほとんどのケースでは特に許可を取ったりすることなく配達のお仕事ができます。

実際に許可が必要な車やバイクをUber Eatsに登録するときには、適切な手続きが済んでいるかの確認があるようなので、知らないうちに違法行為をしていたということになるリスクは低いようです。

これからもどんどん新しいビジネスが生まれてくることになると思いますが、日本の許認可制度は複雑で広範囲に及んでいますので、ますますビジネスをはじめる前の適法性チェックが重要になってきます。

そのため我々行政書士の立場からは、新しいビジネスモデルを検討する際には、ぜひ許認可の観点からも検討することをおすすめしています。

文:泉谷守信(行政書士)

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