レンタカー業を始めるための許可(自家用自動車有償貸渡業許可)

レンタカー業(自家用自動車有償貸渡業)は、自動車を有料で貸し出す事業のことです。レンタカー業は道路運送法上では自家用自動車有償貸渡業と呼ばれており、レンタカー業を経営するためには、『自家用自動車有償貸渡業の許可』を取得してから事業を始めなければなりません。

レンタカー業は、株式会社などの法人だけではなく、個人事業主の方も許可を取得することができます。

なお、レンタカーの車両を使用して、人(旅客)を乗車させて運賃をもらう運行をすることはできません。レンタカー業の許可はあくまでも自動車を貸し出す事業に対する許可であって、旅客運送事業の許可ではありません。訪日外国人旅行者などのために空港送迎や観光地巡りを行い、その対価として運賃をもらうためには、旅客自動車運送事業の許可取得をご検討ください。

また、訪日外国人旅行者から直接運賃を収受しなくても、海外の旅行会社や日本国内のランドオペレーター(旅行サービス手配業者)から依頼を受けて空港送迎や観光地巡りを行い、その運賃を海外の旅行会社やランドオペレーターから受取る事業も、旅客自動車運送事業に該当します。

いわゆる「白タク行為」は、レンタカー業の許可を取得した場合であっても違法行為になります。

レンタカー業開業までの流れ

1.許可要件の整備
2.提出書類の作成
3.許可申請書の提出
4.運輸局の審査
5.許可の取得
6.車両の登録
7.営業開始

1.許可要件の整備

レンタカー業は、お客様に貸し渡す車両があれば誰でも許可が取得できるわけではありません。法令で定められている許可要件が整っていないと、申請書を提出しても許可は取得できないのです。

レンタカー業の許可要件は、大きくわけて「人の要件」「物の要件」「お金の要件」の3つに分類することができます。ひとつずつ確認していきましょう。

「人の要件」

まず、許可申請の申請者が、次のいずれかの欠格事由に該当するときは、レンタカー業の許可を取得することができません。

1年以上の懲役又は禁錮の刑処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者であるとき
一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しを受け、取消しの日から2年を経過していない者であるとき
一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成 5 年法律第 88 号)第 15 条の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から 2 年を経過していない者。
一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの監査が行われた日から許可の取消しの処分に係る聴聞決定予定日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から 2 年を経過していない者。
営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合において、その法定代理人が前記アからオに該当する者。
申請日前 2 年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けている者。

法人がレンタカー業の許可を取得しようとする場合は、その法人の役員が、上記の欠格事由に一つでも該当する場合は、残念ながら許可を取得することができません。

そして、次のいずれかの車両を営業所に配置するレンタカー業の場合は、営業所ごとに、整備管理者を選任しなければなりません。

車両の種類 選任が必要となる台数(営業所ごと)
バス等(乗車定員が11人以上の車両) 1台以上
大型トラック等(車両総重量8トン以上) 5台以上
その他の車両 10台以上

例えば、乗用車9台を使用したレンタカー業を始めるためには一定の資格要件を満たした整備管理者の確保は不要ですが、乗用車が10台以上になってしまうと整備管理者の確保が必須になってしまいます。

なお、整備管理者は誰でもなれるわけではなく、整備管理者として選任する方は、次の①②のいずれかの要件をみたしている必要があります

①1級整備士、2級整備士、3級整備士のいずかの資格を保有している方

②整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検もしくは整備の管理に関して2年以上の実務経験を有し、地方運輸局が行う整備管理者選任前研修を修了している方

さらに、整備管理者の他、事務所に配置する責任者を選任することが求められています。とはいえ、責任者は、取締役などの役員や整備管理者が兼任することも可能ですので、無人でレンタカー業を運営しない限りは、責任者の選任は容易でしょう。

「物の要件」

まず、営業所となる事務所と車庫が必要になります。営業所には面積の要件はありませんが、レンタカー業を行う上での事務スペースや接客スペースは実務上必要になるでしょう。

また、営業所に配置する車両を保管する車庫も確保しなければなりません。車庫は、営業所から直線距離で2キロメートル以内に、全車両が駐車できる広さを確保しなければなりません。

レンタカー業に使用する車両は、許可申請書を提出する時点では、確保していなくても許可申請書の提出自体は行うことができます。車両は、許可取得後にナンバーを取り付けるときまでに調達できていれば問題ないです。

とはいえ、営業所に配置する車両数を許可申請書に記載しなければならないため、何台の車両を使って事業を行うかは確定している必要はあります。

また、中古車を買取り、その車両をレンタカーとしてお客様へ貸渡しを行う事業を営む場合は、レンタカー業の許可に加えて、古物商の許可も必要になります。レンタカー業は運輸局へ申請して許可を取得しますが、古物商は営業所を管轄する警察署を経由して各都道府県の公安委員会から許可を取得することになります。なお、中古車を使用したレンタカー業を営む際の古物商許可の要否は、管轄警察署によって判断が異なる場合がありますので、警察署への事前確認が必要でしょう。

「お金の要件」

レンタカー業を始めるためには、「資本金がいくら以上必要」「預貯金がいくら以上必要」といった財産的な要件はありません。会社の財務状況や運転資金の確保状況は審査の対象外です。

お金の要件に近い要件として、お客様へ貸し渡す車両に付保する自動車保険の補償が次の内容以上であることが求められています。

ア 対人保険 1名につき8,000円以上
イ 対物保険  1事故につき200万円以上
ウ 搭乗者保険 1名につき500万円以上

許可要件で定められている補償内容はあくまで最低限の内容ですので、対人保険と対物保険の補償は無制限、とされる事業者さんが多いです。

2.提出書類の作成

レンタカー業の許可要件が整いましたら、運輸局へ提出する書類作成を進めましょう。

レンタカー業は個人事業主でも法人でも取得することができますので、個人・法人の場合の必要書類を2つに分けて説明いたします。

個人事業主が許可申請を行う場合(営業所が関東運輸局管内にある場合)

自家用自動車有償貸渡許可申請書
貸渡料金表
貸渡約款
個人事業主の住民票
宣誓書
事務所別車種別配置車両数一覧表
貸渡しの実施計画を記載した書類

株式会社などの法人が許可申請を行う場合(営業所が関東運輸局管内にある場合)

自家用自動車有償貸渡許可申請書
貸渡料金表
貸渡約款
履歴事項全部証明書(法人の登記簿謄本)
宣誓書
事務所別車種別配置車両数一覧表
貸渡しの実施計画を記載した書類

許可申請に必要な書式一部は、運輸局の窓口やホームページで入手することができます。

3.許可申請書の提出

運輸局への提出書類が全て整いましたら、運輸局へ提出に行きましょう。

提出先は、営業所を管轄する運輸支局の輸送部門になります。東京都内に営業所を設置したい場合は、鮫洲にある東京運輸支局へ、神奈川県内に営業所を設置したい場合は小机にある神奈川運輸支局の輸送部門の窓口へ提出します。

窓口では、提出書類が全て揃っているかどうかの形式的な審査が行われ、問題がなければ受理となります。

許可申請書の提出は審査の開始ですので、レンタカー業の許可が下りたわけではありません。ですので、この段階では、レンタカー業を営むことはできません。

4.運輸局の審査

運輸支局の窓口で受理された書類は、運輸支局内で書類審査が行われます。この書類審査の期間は概ね1ヶ月となっていますが、申請が多い時期や、書類に不備があって補正が発生すると、審査期間はそれ以上の日数がかかります。

ですので、開業時期が決まっている場合は、余裕をもって許可申請書の提出を行った方がよいでしょう。

5.許可の取得

運輸支局内の審査が完了すると、運輸支局より連絡が入りますので、連絡が入りましたら、許可書の受領のため、再度運輸支局の窓口に行きましょう。

窓口では、担当官より、許可証の他、登録免許税の納付書などを受領致します。登録免許税(9万円)は銀行などの金融機関で納付し、その領収証書を運輸支局の窓口に提出します。

整備管理者の選任が必要な場合は、整備管理者選任の届出も行います。許可証は再発行できませんので、紛失されないようご注意ください。

6.車両の登録

めでたくレンタカー業の許可を取得されたら、お客様へ貸し渡す車両の登録を行います。

車両の登録は、営業所を管轄する検査登録事務所で行います。検査登録事務所は、以前は、陸運支局や陸運事務所と呼ばれていましたが、一般的には車検場と呼ばれている場所です。

レンタカー業で使用する車両の登録を行う際は、通常の登録書類に加えて、『事業用自動車等連絡書』という書類が必要になります。この連絡書は、登録する車両が、レンタカー事業で使用する車両であることを明らかにするための書類です。

連絡書は、レンタカー業の許可取得手続きを行った運輸支局の輸送窓口で取得する書類ですので、検査登録事務所では取得できません。

事業用自動車等連絡書の書式は、運輸支局の窓口やホームページから取得すること可能です。

また、レンタカーの登録の際は、管轄警察署が発行した車庫証明が必要になります。レンタカーナンバー取得登録窓口に行く前に、警察署から取得をお願いいたします。

7.営業開始

車両の登録が完了し、営業所内に『貸渡約款』『貸渡料金』の掲示、『貸渡証』『貸渡簿』の整備が完了したら、営業を開始することができます。

レンタカー業の開業までの流れは、以上となります。

とはいえ、レンタカー業の許可を取得するためには、貸渡約款や貸渡料金表の作成作業や、書類の提出や許可証の受取、登録免許税の納付、事業用自動車等連絡書の取得などで、最低3回は運輸支局の窓口に出向く必要があります。

また、申請者側では、事業に使用する車両の調達、営業所・車庫の確保、従業員の採用といった、開業するまでに様々なタスクを抱えることになります。

従って、早く・確実にレンタカー業の許可を取得されたい方は、許認可法務の専門家である行政書士へ、許可申請業務を依頼されるのが賢明だと当法人では考えております。

行政書士法人シグマの手続き代行の概要

当法人へレンタカー業(自家用自動車有償貸渡業)の許可申請をご依頼頂いた場合の報酬額の目安をご案内致します。

報酬額(税別) 8万円~(個人事業主が申請書の場合)

10万円~(法人が申請者の場合)

その他の諸費用 登録免許税(9万円)、郵送費、交通費、住民票又は履歴事項全部証明書取得手数料などの実費は別途申し受けます。

レンタカー業(自家用自動車有償貸渡業)許可取得サポートの内容

営業所・車庫の要件調査
住民票(個人の場合)又は履歴事項全部証明書(法人の場合)の代行取得
運輸支局との事前調整・確認
提出書類の作成
許可申請書の提出
許可証の受取
登録免許税の納付
登録免許税領収証書届出書の提出
事業用自動車等連絡書の取得
整備管理者選任の届出
貸渡し車両の登録手続き ×

※検査登録事務所(車検場)での貸渡し車両の登録手続きは、当法人のサポート内容に含まれておりません。

車両の登録手続きは、お客様ご自身で行って頂くか、代行をご希望される事業者様には、登録手続きを取扱っている行政書士事務所をご紹介致します。

レンタカー業許可の更新手続き

レンタカー業の許可は、許可の有効期間はありません。従って、更新手続きは不要です。

『貸渡実績報告書』と『事務所別車種別配置車両数一覧表』の提出

レンタカー業の許可取得後は更新手続きは不要ですが、毎年4月1日から5月31日までの間に、『貸渡実績報告書』と『事務所別車種別配置車両数一覧表』の提出をしなければなりません。

貸渡実績報告書

この報告書は、毎年の4月1日から3月31日までの車両を貸し渡した回数や延走行キロ、総貸渡料金などのレンタカー業の実績を報告する書類です。貸渡簿に記載された数値を集計して作成することになります。

※貸渡簿は、貸渡しの状況を的確に記録した書類です。作成後は少なくとも2年以上保存義務があります。

事務所別車種別配置車両数一覧表

この一覧表は、毎年度の四半期(6月末、9月末、12月末、3月末)毎の、どこの営業所にどの区分の車両を配置していたかを記載する書類です。車両の区分は「乗用車」「マイクロバス」「トラック」「特種車」「二輪車」の5区分に分かれています。

これらの報告書と一覧表は、提出先は、主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局になります。『事務所別車種別配置車両数一覧表』は、6月30日時点、9月30日時点、12月31日時点、3月31日時点の4期分を1枚ずつ作成しますが、前年度の4期分を5月31日までにまとめて提出すれば足ります。

ページトップへ戻る