貨物利用運送事業を始めるには?

貨物利用運送事業(「水屋」と呼ばれることもあります。)は、他の実運送事業者が経営する貨物自動車、鉄道、船舶(外航・内航)、航空(国内・国際)の運送事業を利用して、有償で、荷主(他人・他社)の貨物を運送する事業です。国際物流の分野では、フォワーダーや乙仲と呼ばれる事業者と呼ばれています。

貨物利用運送事業法に基づく利用運送事業の登録・許可を取得した事業者は貨物利用運送事業者といいますが、貨物利用運送事業者は荷主との間で運送契約(請負)を締結し、さらに、運送事業者との間で運送契約(請負)を締結します。

目次

貨物利用運送事業の登録と許可

貨物利用運送事業を始めるには、所定の申請書類を提出し、審査を経て、国土交通大臣より「登録」または「許可」を受ける必要があります。

第一種貨物利用運送事業は「登録」、第二種貨物利用運送事業は「許可」を、それぞれ受けなければなりません。「登録」と「許可」といっても、許認可取得の条件、申請書類の種類、審査期間には大きな違いはありません。

貨物利用運送事業を無登録・無許可で経営した場合は、以下のような罰則規定がありますのでご注意ください。

  • 第一種貨物利用運送事業を無登録で経営した場合の罰則
    国土交通大臣から登録を受けずに第一種貨物利用運送事業を経営した場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処されるか、又はこれらを併科されます。
  • 第二種貨物利用運送事業を無許可で経営した場合の罰則
    国土交通大臣の許可を受けずに第二種貨物利用運送事業を経営した場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処されるか、これらを併科されます。

当法人にご相談頂くお客様の中には、そもそもビジネスモデルが貨物利用運送事業に該当するかどうか不安だとお悩みの方もいらっしゃいます。申請手続きのご相談に加えて、そもそも貨物利用運送事業の登録・許可が必要などうかのご相談も当法人では承っております

※調査が必要な場合など、ご相談内容によって有料相談となる場合があります。

貨物利用運送事業の申請は、利用する運送機関の種類によって異なります。貨物利用運送事業法で定められている運送機関の種類は、貨物自動車、鉄道、船舶(内航・外航)、航空(国内・国際)に6つに分類されています。

従って、貨物利用運送事業の登録・許可申請手続きに具体的に着手する前に、どのような輸送手段、輸送ルートを使って貨物の運送を行うのかを確定させてからでないと申請準備を具体的に進めることができません。

そして、利用する運送機関の種類が確定したら、ビジネスモデルが貨物利用運送事業の第一種に該当するのか、それとも第二種に該当するのかといった、貨物利用運送事業の種別を確定作業を進めることが可能になります。

第一種貨物利用運送事業

  • 貨物自動車
  • 鉄道
  • 船舶(内航・外航)
  • 航空(国内・国際)

第二種貨物利用運送事業以外の貨物利用運送事業が第一種貨物利用運送事業に該当します。

例えば、集荷先から配達先までの緑ナンバーの貨物自動車を利用した運送や、港から港までの船舶を利用した内航海運・外航海運が、第一種貨物利用運送事業に該当します。

第二種貨物利用運送事業

  • 鉄道
  • 船舶(内航・外航)
  • 航空(国内・国際)

第二種貨物利用運送事業は、鉄道・航空・海運の幹線輸送とこれらに先行・後続する貨物自動車による集配運送を組み合わせた運送形態となります。つまり、荷主に対して、ドア・ツー・ドアの運送サービスを提供する場合は、第二種貨物利用運送事業の許可が必要になります。

※貨物自動車のもを利用してドア・ツー・ドアの運送サービスを提供する場合は、複数の実運送事業者を利用しませんので、第二種貨物利用運送事業ではなく、第一種貨物利用運送事業(自動車)に該当します。

「利用の利用」も登録・許可が必要か

貨物自動車運送事業者が、自動車、鉄道、船舶(外航・内航)、航空(国内・国際)といった実運送事業を利用するのではなく、実運送事業を経営していない貨物利用運送事業者(フォワーダー、乙仲、水屋)を使って貨物利用運送事業を行うことを、『利用の利用』と呼んでいます。

この『利用の利用』の場合であっても貨物利用運送事業に該当します。登録または許可の取得を行わないで事業を行うと無登録・無許可営業に抵触し、貨物利用運送事業法違反としてペナルティを受けることになってしまいます。

『利用の利用』の場合の委託先

第二種外航貨物利用運送事業許可を取得したい場合、実運送会社と個別に実運送を委託するためには、

  • 発荷主~国内発港までの国内陸送を担うトラック運送会社
  • 国内発港~海外着港までの海上輸送を担う船会社
  • 海外着港での受取代理店

上記3つの業務を担う事業者との契約が必要になります。

一方で、第二種外航貨物利用運送事業許可を『利用の利用』で取得する場合は、委託先は、第二種外航貨物利用運送事業許可を取得しているフォワーダー、乙仲を選定することになります。

『利用の利用』で貨物利用運送事業の登録・許可の申請を進める場合は、自社が申請しようとする同じ貨物利用運送事業の種別・運送機関と運送委託契約を締結しなければなりません。

例えば、第一種貨物利用運送事業(貨物自動車)の登録を取得するためには、利用する運送会社、委託先は、貨物自動車に関する第一種貨物利用運送事業者である必要があります。

第二種貨物利用運送事業(外航海運)の許可を取得するためには、外航海運に関する第二種貨物利用運送事業者である必要があります。この場合、同じ外航海運に関する貨物利用運送事業者であっても、外航海運に関する第一種貨物利用運送事業者は委託先には選定することができませんのでご注意ください。

貨物利用運送事業に該当しないもの

ここまで貨物利用運送事業の概要についてお伝えしてきましたが、運送事業者を利用して運送を行う場合でも、貨物利用運送事業に該当しない場合があります。

たとえば自社の貨物を実運送事業者に運送させるといった自らの需要に応じる行為や、無償で貨物利用運送を行う場合は、貨物利用運送事業に該当しません。

また、貨物軽自動車運送事業者を利用して、集荷先から発送先までのドア・ツー・ドアの運送サービスを提供する場合も、貨物利用運送事業に該当しません。

これは、貨物利用運送事業法では、利用する貨物の運送を、船舶運航事業者、航空運送事業者、鉄道運送事業者、貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送に限定しているからです。

より具体的には、貨物利用運送事業での「貨物自動車運送事業者」には、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者に限定されており、貨物軽自動車運送事業者は含まれていません。従って、貨物軽自動車運送事業者を利用する場合は、貨物利用運送事業に該当しないのです。最近ご相談が多い事例としては、ECの宅配業務を貨物軽自動車運送事業の届出を行っている個人事業主に委託する場合がありますが、上記の理由により貨物利用運送事業法の規制外ということになります。

ほかに貨物利用運送事業のように、他の運送会社に貨物を運んでもらう事業として、貨物取次事業があります。貨物利用運送事業と貨物取次事業はとてもよく似ているので、お問い合わせを頂くことが多いです。

貨物利用運送事業と貨物取次事業の違い

コンビニでの宅配便の受付やインターネット通販での商品の配達は、コンビニや通販会社が自社で貨物の運送を行うことはありません。コンビニやインターネット通販会社は、宅配便事業を行っている運送事業者に運送業務を依頼しています。

自社では貨物を運ばずに、運送事業者に貨物の運送を依頼しているため、コンビニや通販会社は貨物利用運送事業が必要になりそうですが、貨物利用運送事業の登録・許可は不要です。

これは、コンビニが行っている宅配便の受付や、通販会社が行っている商品の配達は、貨物取次事業という貨物利用運送事業の別の事業に該当するからです。

貨物利用運送事業は、荷主と運送契約を締結して、荷主に対して運送責任を負う事業です。

一方、貨物取次事業は、荷主の依頼により、他の運送事業者に貨物の運送を取次いだり、他の運送事業者に貨物の運送を委託したり、他の運送事業者から貨物の受取をして、取次料金を受取る事業です。

貨物取次事業は、取次業者が荷主に対して運送責任を負いません。

例えば、コンビニエンスストアで宅配便を発送したときに、もし運送中に荷物が紛失した場合の責任はコンビニエンスストアの運営会社が負うのでしょか。この場合の運送責任は、荷物を運んだ運送会社が責任を負います。従って、コンビニエンスストアでの宅配便の受付は、貨物利用運送事業ではなく、貨物取次事業に該当するのです。

貨物取次事業に該当するビジネスモデルとして、貨物と運送会社をマッチングする求貨求車システムの運営事業があります。古くから求貨求車システムは貨物と運送会社をマッチングするサービスとして提供されてきていますが、昨今は、様々なスタートアップ企業が「物流DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の影響を受けてこの分野で参入されています。求貨求車システムは、運営会社は貨物と運送会社をマッチングするだけであり、荷主に対しての運送責任は運送会社が負います。従って、求貨求車システムは、貨物取次事業として言えるでしょう。

なお、貨物取次事業は、平成15年より規制が廃止され、許認可を取得せずに行えるようになりました。

第一種貨物利用運送事業の登録申請手続き

さて、これまでの貨物利用に関する説明から判断すると、貴社で行う予定の事業は「登録・許可が必要な貨物利用運送事業」に該当しそうでしょうか。もし該当するなら、営業を開始する前に管轄行政庁でしっかり登録・許可の手続きを完了しなければなりません。

以下では、この貨物利用運送事業の登録・許可について、まず第一種から概要をご説明いたします。

登録要件

第一種貨物利用運送事業の登録を取得するためには、以下の登録要件を満たす必要があります。

1.事業遂行に必要な施設

自ら運送を行わないとは言え、施設について以下の要件を満たさなければなりません。しかし、それほど大規模な施設が必要になるわけではありませんので、比較的要件は緩いと言えます。

  1. 使用権限のある営業所、事務所、店舗を有していること
  2. 営業所、事務所、店舗が都市計画法等関係法令(農地法、建築基準法等)の規定に抵触しないこと
  3. 保管施設を必要とする場合は、使用権限のある保管施設を有していること
  4. 保管施設が都市計画法等関係法令(農地法、建築基準法等)の規定に抵触しないこと
  5. 保管施設の規模、構造、設備が適切なものであること

2.財産的基礎

次に財産的基礎として、一定の資産を保有していることが必要になります。具体的には純資産300万円(※)以上を有していなければなりません。

※純資産=純資産-創業費その他の繰延資産・営業権-総負債

財産的基礎は利益ではなく純資産額である点と、社内に現金が300万円あることとも違います。財産的基礎の判定は、直近決算期の貸借対照表に記載されている純資産の額が300万円以上なのかどうかで判断します。

また、会社を設立してすぐに利用運送を申請したい場合は、直近決算期の貸借対照表は存在しないため、会社設立時の資本金の額が300万円以上かどうかで判断します。

3.経営主体

また、登録しようとする事業者が、貨物利用運送事業法第6条第1項第1号から第5号に規定する登録拒否要件に該当している場合には登録を受けることはできません。

ここで細かくは列挙しませんが、一定の刑罰を受けたり、利用運送事業に関する不正をしてから2年以内の人などは登録を受けられません。

必要書類

登録を受けようとする申請者が既存法人の場合は、以下の書類の提出が必要になります。

  1. 次の事項を記載した事業の計画
    1. 利用する運送を行う実運送事業者または貨物利用運送事業者の概要
    2. 貨物の保管施設を必要とする場合にあっては、保管施設の概要
  2. 利用する運送を行う実運送事業者または貨物利用運送事業者との運送に関する契約書の写し
  3. 貨物利用運送事業の用に供する施設に関する事項を記載した書類(貨物の保管体制を必要とする場合は、保管施設の面積、構造及び附属設備を記載した書類を含む)
  4. 定款
  5. 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
  6. 貸借対照表(直近事業年度のもの)
  7. 役員の名簿
  8. 役員の履歴書
  9. 役員が欠格事由に該当しないことの宣誓書
  10. 委任状 ※行政書士へ手続きを依頼する場合

第一種貨物利用運送事業登録手続きの流れ

登録手続きの流れは以下のようなものです。書類の作成・収集は、事務作業にかなり慣れた人でも1週間程度かかることが多いのではないでしょうか。

書類は事業所を管轄する運輸支局に提出します。

  1. 必要書類の作成・収集
  2. 申請書類の提出
  3. 審査(標準処理期間:2か月~3か月)
  4. 登録通知書の受領
  5. 登録免許税(9万円)の納付
  6. 運賃料金設定届出書の提出
  7. 営業開始

※国土交通大臣が告示する『標準利用運送約款』を設定しない場合は、第一種貨物利用運送事業の登録申請手続きとは別に、利用運送約款の認可を受けなければなりません。

第一種貨物利用運送事業の審査期間(標準処理期間)

登録の申請をしてから、実際に登録されるまでの標準処理期間は2か月~3か月となっています。

この登録までの期間は短ければ短いほど登録を希望する方には嬉しい話ですが、実際には2か月以内に登録が完了することはほとんどありません。

希望的観測で2か月と見積もってしまうと、思わぬ損害が生じる可能性もありますし、提出書類の精度を上げて書類の修正や運輸局からの確認がない案件であっても審査期間は3か月前後要しています。

第一種貨物利用運送事業登録後の注意点

掲示義務

第一種貨物利用運送事業の登録後は、主たる事務所とその他の営業所に、以下の事項を見やすいように掲示しましょう。

  1. 第一種貨物利用運送事業者である旨
  2. 利用運送機関の種類
  3. 運賃及び料金(消費者を対象とするものに限る)
  4. 利用運送約款
  5. 利用運送区域又は区間
  6. 業務の範囲

従って、掲示物が掲示できる事務所や営業所の実態が求められます。住所だけ借りるバーチャルオフィスや、他社と事務スペースを共有するシェアオフィスでは、掲示物を掲示することは通常は利用規約違反になし、実際に掲示することはできません。レンタルオフィスで貨物利用運送事業を始められる際は、個室タイプの物件である必要があると思います。

事業報告書の提出

第一種貨物利用運送事業者は、事業報告書と事業実績報告書を毎年1回定められた提出期限までに、提出することが義務付けられています。

事業概況報告書

事業概況報告書は、営業概況報告書と貸借対照表等財務計算に関する諸表で構成されています。この報告書は、毎事業年度経過後100日以内に提出することが義務づけられています

例えば決算期が3月31日の事業者の場合は、毎年7月10日が提出期限になります。

外国人第一種貨物利用運送事業(外航海運と国際航空)の登録のみを取得している事業者の場合は、事業概況報告書の提出は不要であり、事業実績報告書のみを提出すれば足ります。

事業実績報告書

事業実績報告書は、前年4月1日から3月31日までの1年間の貨物取扱量(トン数)の関する報告書です。実績報告書は毎年7月10日までに提出することが義務づけられています。

それぞれの報告書の提出時期は、国土交通省や運輸局から案内はなく、それぞれの事業者さんがスケジュール管理をして提出していかなえればなりません。

事業計画の変更手続き

国土交通省へ提出した事業計画のうち、以下の事項に変更のある場合には、事業計画の変更登録申請または変更届出を行いましょう。

  1. 利用運送に係る運送機関の種類の変更(変更登録)
  2. 利用運送の区域又は区間の変更(変更登録)
  3. 主たる事務所の名称又は位置の変更(変更届出)
  4. その他の営業所の名称及び位置の変更(変更届出)
  5. 業務の範囲の変更(変更登録)
  6. 貨物の保管施設の変更(変更届出)
  7. 利用する運送を行う実運送事業者又は利用運送事業者の変更(変更届出)

「1.の利用運送に係る運送機関の種類の変更」とは、貨物自動車の登録を取得している第一種貨物利用運送事業者が、外航の輸送モードを追加したい場合に該当します。

「7.利用する運送を行う実運送事業者又は利用運送事業者の変更」とは、委託先の運送会社を追加したり削除した場合に該当します。

事業者の氏名・名称・住所・国籍・役員の変更

第一種貨物利用運送事業者の氏名もしくは名称、住所又は国籍、法人であって役員に変更があった場合は、変更届出を行いましょう。

代表取締役の変更は、変更後に遅滞なく届出を行わなければなりませんが、代表権の無い役員の変更の場合は、前年7月1日から6月30日の期間に発生した就任・退任は毎年7月31日までに届出を行えば足ります。

つまり代表権のない役員の変更手続きは年に1回まとめて手続きを行うことができますが、頻繁に役員の異動が生じないのならば、都度届出手続きをやられた方が届出漏れを防げると思います。

運賃・料金の改定

第一種貨物利用運送事業の新規登録を行ったときは運賃・料金の設定届出手続きを行います。また、届け出た運賃・料金に変更が生じた場合は、変更届出手続きが必要になります。運賃料金の届出・改訂手続きは、設定・変更した日を基準に30日以内に行うよう法令で規定されています。

事業承継

第一種貨物利用運送事業の譲渡譲受、合併及び分割、相続を行った場合は、その地位を承継した事業者が、承継の日から30日以内に、届出を行いましょう。貨物利用運送事業の許認可だけを譲り渡したり、譲り受けるのは、この地位の承継の手続きを行うことになります。

事業の廃止

第一種貨物利用運送事業の廃止を行う場合は、事業廃止日から30日以内に届出を行います。

第二種貨物利用運送事業の許可申請手続き

許可要件

集配を他の運送事業者に委託して、第二種貨物利用運送事業の許可を取得するためには、以下の基準を満たさなければなりません。第一種貨物利用運送事業登録に比べると厳しいですね。

事業計画の適切性

施設だけで良かった第一種貨物利用運送事業の場合に加えて2つの要件が追加されています。

(1)事業の円滑な遂行

利用する運送を行う実運送事業者との間に、業務取扱契約が締結されており、貨物利用運送事業を円滑に遂行することができるものと認められること

(2)事業遂行に必要な施設
  1. 使用権限のある営業所、事務所、店舗を有していること
  2. 営業所、事務所、店舗が都市計画法等関係法令(農地法、建築基準法等)の規定に抵触しないこと
  3. 保管施設を必要とする場合は、使用権限のある保管施設を有していること
  4. 保管施設が都市計画法等関係法令(農地法、建築基準法等)の規定に抵触しないこと
  5. 保管施設の規模、構造、設備が適切なものであること
(3)貨物の受取を他の者に委託して行う場合

貨物の受取業務を円滑に遂行することができるものと認められる受託者に業務委託していること

事業の遂行能力

資産の要件だけなく、組織についても一定の要件をクリアしなければいけませんし、第一種貨物利用運送事業と同様の欠格事由に該当しないだけでなく、事業遂行に必要な法令の知識も要求されます。

(1)純資産300万円以上を所有していること

※純資産=純資産-創業費その他の繰延資産・営業権-総負債

純資産300万円は、社内に300万円の現預金があることと同意ではありませんのでご注意ください。

(2)組織
  1. 事業遂行に十分な組織を有すること
  2. 事業運営に関する指揮命令系統が明確であること
(3)経営主体
  1. 欠格事由に該当しないこと
  2. 事業遂行に必要な法令の知識を有すること

集配事業計画の適切性

集配についても適切に行えるような営業所や体制が要求されます。

(1)集配営業所
  1. 使用権限を有すること
  2. 都市計画法等関係法令(農地法、建築基準法等)の規定に抵触しないこと
(2)集配事業者の体制

集配の業務の委託を受けた者が鉄道、航空又は海上貨物の集配のために必要な業務運営体制を有していること

必要書類

既存法人が集配を他の運送事業者に委託して、第二種貨物利用運送事業の許可申請を行う際には、以下の書類が必要になります。第一種貨物利用運送事業に比べると書類の量も膨大で、一筋縄ではいかないという感じがするのではないでしょうか。

  1. 申請書(様式1)
  2. 次の事項を記載した事業計画(様式2)
    1.利用運送機関の種類
    2.利用運送の区域又は区間
    3.主たる事務所の名称及び位置
    4.営業所の名称及び位置
    5.業務の範囲
    6.貨物の保管体制を必要とする場合にあっては、保管施設の概要
    7.利用する運送を行う実運事業者又は貨物利用運送事業者の概要
    8.実運送事業者又は貨物利用運送事業者からの貨物の受取を他の者に委託して行う場は、受託者の氏名又は名称、住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名、営業所の位置
  3. 次の事業を記載した集配事業計画(様式3)
    1.貨物の集配の拠点
    2.貨物の集配を行う地域
    3.貨物の集配に係る営業所の名称及び位置
    4.貨物の集配を委託する場合の、受託者の氏名又は名称、住所並びに法人の場合は、その代表者の氏名、営業所の名称、位置、貨物の集配に供する事業用自動車の数
  4. 利用する運送を行う実運送事業者又は貨物利用運送事業者との運送に関する契約書の写し
  5. 受託者との集配業務委託契約書の写し
  6. 営業所、集配営業所の施設について都市計画法等関係法令の規定に抵触しないことを証する書類(様式4)
  7. 営業所、集配営業所の使用権限を証する書類(様式5)
  8. 保管施設の面積、構造及び附属設備を記載した書類(様式6)※貨物の保管体制を必要とする場合
  9. 基幹保管施設以外の保管施設について、適切な規模、構造及び設備を有するものであることを証する書類(様式7)
  10. 定款
  11. 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
  12. 過去3カ年分の貸借対照表
  13. 役員名簿(様式8)
  14. 役員の履歴書(様式9)
  15. 欠格事由に該当しない旨の宣誓書(様式10)
  16. 貨物利用運送事業部門の組織体制の概要

第二種貨物利用運送事業許可申請手続きの流れ

  1. 必要書類の作成・収集
  2. 申請書類の提出
  3. 審査(標準処理期間3か月~4か月)
  4. 登録通知書の受領
  5. 登録免許税(12万円)の納付
  6. 運賃料金設定届出書の提出
  7. 営業開始

※国土交通大臣が告示する『標準利用運送約款』を設定しない場合は、第二種貨物利用運送事業の許可申請手続きとは別に、利用運送約款の認可を受けなければなりません。

第二種外航貨物利用運送事業は、国土交通省は、標準利用運送約款を定めておりません。自社で利用運送約款を作成し認可を受ける必要があります。とはいえ、利用運送約款を自社で作成するのは難しいため、一般的には、フォワーディング事業の業界団体に加盟し、その業界団体が会員向けに提供している利用運送約款を使用することが多いです。

第二種貨物利用運送事業の審査期間(標準処理期間)

  • 3か月~4か月

この期間は標準的な処理期間であり、第二種貨物利用運送事業許可の審査が3か月で完了することは稀だと思われた方がよいでしょう。国土交通省と各地方運輸局で審査が行われるため、担当官の事務処理状況によって、審査期間は大きく変わってきます。

私どもの経験上、審査期間を短くするのは難しいです。提出書類の精度を上げても審査機関の短縮には限界があります。どうしても早く許可を取得されたい場合は、前広に準備をして早く許可申請書類を提出するしかないと考えます。

第二種貨物利用運送事業許可取得後の注意点

掲示義務

第二種貨物利用運送事業の許可取得後は、主たる営業所とその他の営業所に、次の事項を見やすいように掲示しましょう。

  1. 利用運送機関の種類
  2. 運賃及び料金(宅配便事業等、消費者を相手にする運送事業の場合)
  3. 利用運送約款
  4. 利用運送区域又は区間
  5. 業務の範囲
  6. 第二種貨物利用運送事業者である旨
  7. 貨物の集配の拠点

第一種貨物利用運送事業と同様に、第二種貨物利用運送事業であっても個室タイプではないレンタルオフィスでは、法定されている掲示物を掲示することは、利用規約上も実態上もできないと思います。レンタルオフィスで貨物利用運送事業をはじめられる場合は、契約形態は慎重に検討しましょう。

事業報告書の提出

第二種貨物利用運送事業者は、事業報告書と事業実績報告書を毎年1回定められた提出期限までに、提出することが義務付けられています。提出期限までに提出しましょう。

事業概況報告書

事業概況報告書は、営業概況報告書と貸借対照表等財務計算に関する諸表で構成されています。この報告書は、毎事業年度経過後100日以内に提出することが義務づけられています

3月決算の場合は、毎年7月10日が提出期限となります。

外国人第二種貨物利用運送事業(外航海運と国際航空)の許可のみを取得している事業者の場合は、事業概況報告書の提出は不要であり、事業実績報告書のみを提出すれば足ります。

事業実績報告書

事業実績報告書は、毎年4月1日から3月31日までの1年間の貨物の取扱実績の関する報告書です。この報告書は7月10日までに提出することが義務づけられています。

事業計画の変更手続き

第二種貨物利用運送事業の事業計画のうち、次の事項に変更のある場合は、事業計画変更認可申請または届出を行いましょう。

  1. 利用運送に係る運送機関の種類の変更(変更認可)
  2. 利用運送の区域又は区間の変更(変更認可)
  3. 主たる事務所の名称及び位置の変更(事後届出)
  4. 営業所の名称及び位置の変更(事後届出)
  5. 業務の範囲の変更(変更認可)
  6. 貨物の保管施設の変更(事後届出)
  7. 利用する運送を行う実運事業者又は利用運送事業者の変更(事後届出)
  8. 受取事業者の氏名又は名称及び住所並びに法人の場合は代表者の氏名、営業所の名称及び位置の変更(事後届出)

「1.利用運送に係る運送機関の種類の変更」は、具体的には、外航海運の第二種貨物利用運送事業許可を取得している事業者が、輸送モードに国際航空を追加する場合が該当します。

集配事業計画の変更手続き

第二種貨物利用運送事業の集配事業計画のうち、次の事項に変更のある場合は、集配事業計画変更認可申請または届出を行いましょう。

  1. 貨物の集配の拠点の変更(変更認可)
  2. 各営業所に配置する事業用自動車の数の変更(事前届出)
  3. 自動車車庫の位置及び収容能力の変更(変更認可)
  4. 事業用自動車の運転者等の休憩睡眠施設の位置及び収容能力の変更(変更認可)
  5. 貨物の集配を行う地域の変更(事後届出)
  6. 貨物の集配に係る営業所の名称及び位置の変更(事後届出)
  7. 貨物の集配を他の運送事業者に委託する場合の受託事業者の変更(事後届出)

事業者の氏名・名称・住所・国籍・役員の変更

第二種貨物利用運送事業者の氏名もしくは名称、住所又は国籍、法人であって役員に変更があった場合は、変更届出を行いましょう。

代表取締役の変更は、変更後に遅滞なく届出を行わなければなりませんが、代表権の無い役員の変更の場合は、前年7月1日から6月30日までの生じた役員変更に関して毎年7月31日までに届出を行えば足ります。

役員変更が生じた際、法務局での役員変更登記申請のみで、国土交通省への届出手続きを失念されている方が多い傾向がありますので、法務局での手続きが完了したら国土交通省への変更届出手続きも忘れずに行いましょう。

役員変更届出手続きが漏れてしまうと、実態の役員構成と国土交通省が把握している役員構成に整合性が取れなくなり、今後の申請手続きの際に不都合が生じてしまいます。

運賃・料金の改定

第二種貨物利用運送事業者は、許可取得後に設定した運賃料金の届出を行います。また、その設定した運賃料金に改定を行った場合は、改定日から30日以内に、運賃料金変更届出を行いましょう。

第二種貨物利用運送事業の譲渡譲受、合併及び分割、相続

第二種貨物利用運送事業の譲渡譲受、合併及び分割、相続を行う場合は、認可申請を行いましょう。

事業の休止及び廃止

第二種貨物利用運送事業の休止や廃止を行う場合は、事業休止・廃止日から30日以出を行いましょう。

行政書士に依頼する場合には

これまでご自身で手続きをすることを前提に書いてきましたが、ここからは「自分でやるより行政書士に任せたい」という方に向けて、当法人に手続きをご依頼いただく場合の流れや費用を紹介します。

  • 貨物利用運送事業の登録・許可を取得で失敗したくない
  • 手引きを読んだけど手続きに必要な書類が具体的にわからなかった
  • 登録・許可要件をどのようにクリアーすればよいかコンサルティングして欲しい
  • 申請書の作成や申請に必要な人的リソースが不足しているため外注したい
  • 紹介してもらった行政書士は貨物利用運送事業については詳しく無さそうだ
  • 近くに貨物利用運送事業に詳しい行政書士がいない

私どもには、このようなお悩みを持たれている事業者様よりご相談をよく頂いております。

貨物利用運送事業のうち、第二種貨物利用運送事業に関しては、日本全国を探しても対応できる行政書士は少ないです。行政書士法人シグマは、第二種貨物利用運送事業の許可申請も得意としており、全国の事業者様の許可申請手続きを代理しております。

また、新規登録・新規許可取得の手続き以外にも、輸送モードを追加したり、営業所や利用する運送会社、役員の変更手続きであったり、事業概況報告書・事業実績報告書の作成・提出代行サービスも提供中です。

なお、申請手続きは自社でやるので必要書類を教えて欲しい、申請書の書き方がわからない場合など、「ちょっと聞きたい」時は、行政書士事務所ではなく、申請先の行政機関(国土交通省や地方運輸局、運輸支局)へご照会ください。

ご依頼の流れ

  1. お問合せ(お電話、メールともに初回は無料です)
  2. ご面談(対面又はZoomにて)
  3. 必要な手続きの確定(ビジネスモデルに応じて適切な登録・許可をご案内します。)
  4. 正式依頼および手続き費用のご入金
  5. 審査機関(国土交通省・運輸局)との事前調整
  6. 必要書類の作成・収集(主に行政書士が行います。)
  7. 申請書類の提出(行政書士が行います。)
  8. 審査
  9. 登録通知書の受領(行政書士が行います。)
  10. 登録免許税の納付(行政書士が行います。)
  11. 運賃料金設定届出書の提出(行政書士が行います。)
  12. 営業開始

第一種貨物利用運送事業(貨物自動車)の登録取得手続きは、通常ですと、ご相談から営業開始まで、3か月から半年程度です。委託先の運送会社との契約締結に時間を要したり、役員様の履歴書・宣誓書の準備に時間を要する場合は、1年近く営業開始までに日数を要したケースもあります。

営業開始まで半年以上ケースとしては、第二種貨物利用運送事業許可を取得する場合や、運輸支局との事前調整が難航した場合などがあります。

様々な契約の内容なども手続きに影響しますので、貨物利用運送事業を検討しはじめた段階で一度ご相談いただくと、その後の手続きがスムーズに進みやすいです。初回のお問合せは電話、メールともに無料ですので、お気軽にご相談ください。

ご依頼いただく場合の費用

第一種貨物利用運送事業登録(貨物自動車)手続き代行報酬 税込165,000円~
第一種貨物利用運送事業登録(貨物自動車以外)手続き代行報酬 税込220,000円~
第一種貨物利用運送事業登録免許税 90,000円
第二種貨物利用運送事業許可手続き代行報酬 税込275,000円~
第二種貨物利用運送事業登録免許税 120,000円
       
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