一般貨物自動車運送事業を始めるには

緑ナンバーの貨物自動車(トラック・バンなど)を使用して、荷主の依頼を受けて貨物を運送し、運賃を受取る事業のことを、一般貨物自動車運送事業と言います。

一方、運送事業であっても、黒ナンバーの自動車を使用して、荷主からの依頼を受けて貨物の運送を有償で行う事業のことを、貨物軽自動車運送事業と言います。

同じ運送事業であっても、運送事業に使用する車両によって、法律で定められている事業名が違ってくるのです。

一般貨物自動車運送事業は、一般的には『トラック運送業』や『運送業』とも呼ばれています。単に『運送会社』と呼ばれるのも一般的でしょうか。この事業を始めるには、国土交通大臣の許可を受けなければならないと、貨物自動車運送事業法にて規定されております。

一般貨物自動車運送事業の許可

それでは、一般貨物自動車運送事業の許可取得はどの事業者様でも簡単にできるものなのでしょうか。

「白色のナンバーを緑色に変えるだけだから簡単に取得できる」と思われている方も当法人のご相談者の中にはいらっしゃいましたが、実は一般貨物自動車運送事業許可取得のハードルはとても高いです。

そして、この許可取得のハードルは法令の改正を重ねるごとに厳しくなってきております。

許可取得を検討されている方は、まずは、許可取得の条件を確認されて、その条件をクリアーできるのであれば早めに動かれた方がよいでしょう。

 営業開始までの手続きは手間も時間もかかる

一般貨物自動車運送事業許可は、許可基準を満たすのが難しい上、許可申請の準備に着手してから事業開始までも時間がかかる許認可です。

許可取得までは、順調に手続きが進んだ場合でも、営業開始までは7か月の期間が必要になるでしょう。営業所や車庫の候補地選定や役員法令試験が再試験になってしまうと、営業開始までさらに期間を要することになります。

許可処分になっただけでは運輸開始ができない

一般貨物自動車運送事業の許可を取得すると運輸局より許可書が発行されますが、車両に取り付ける事業用ナンバー(緑ナンバー)は自動的に交付されるわけではありません。運輸局の許可処分後に運輸開始前報告手続きを経て、事業用ナンバーを取得するための事業用自動車等連絡書を取得することができます。この連絡書を登録書類に添えて登録手続きを行うことで事業用ナンバーを取得することができます。

許可書と一緒に台数分の事業用ナンバーを交付されると思われている方もいらっしゃいますが、そうではありません。

東京・神奈川での一般貨物自動車運送事業営業までの流れ

当法人の拠点がある東京・神奈川での運送業開業までの許可申請手続きの流れは次の通りです。

  1. 許可基準の調整・確認
  2. 申請書類の収集・作成
  3. 営業所の所在地を管轄する運輸支局へ申請書を提出
  4. 役員法令試験の受験→合格
  5. 運輸局での書類審査(標準処理期間:3~4か月)
  6. 一般貨物自動車運送事業許可証の受領
  7. 運行管理者・整備管理者の選任届
  8. 運輸開始前の確認報告
  9. 車両の登録
  10. 営業開始(※営業開始は許可取得から1年以内に行わなければなりません。)
  11. 運賃料金設定届出書の提出
  12. 運輸開始届出の提出

一般貨物自動車運送事業の許可を取得し事業開始までには、最低でも6か月程度の期間を要します。この期間は事前準備の期間は含まれておりませんので、営業所や車庫、車両の選定の時間を含むと1年くらいの期間は必要になると思われた方がよいでしょう。

運輸局の標準処理期間とは

標準処理期間とは、申請者が運輸支局へ提出した許可申請書が運輸局に到達して、審査に通常要すべき標準的な期間のことを言います。

標準処理期間は、提出書類に不足や不備ない場合の期間のため、もしも、提出書類に不備や不足があると、その修正が終わるまでは運輸局の審査は中断してしまいます。補正中の期間は標準処理期間は中断してしまうのです。

従って、早く許可を取得するためには、運輸局へは精度の高い書類を提出し、運輸局から確認や補正指示が出た場合は速やかに対応する必要があるでしょう。

法令試験の合格が求められる

さらに、一般貨物自動車運送事業の許可を取得するためには、運輸局が実施する法令試験に合格しなければなりません。

法令試験は、運輸支局が申請書を受理した後の奇数月に運輸局にて実施されます。具体的な試験日や受験場所は試験実施日の概ね2週間前までに、許可申請会社の登記簿上本店住所宛に郵便で届きます。

役員法令試験を受験して頂く方は、一般貨物自動車運送事業に専従する役員の方です。ここでいう役員は株式会社の場合は代表取締役や取締役であり、監査役や執行役員は受験できません。複数に役員さんが同時に受験することはできません。一社当たり1名のみが受験します。運行管理者資格を取得していても役員法令試験の免除にはなりません。

万が一法令試験の結果が不合格の場合は、翌々月の再試験を受験することができます。再試験においても合格点に達しない場合、2回不合格の場合は、その許可申請は申請者が取下げるか、取下げない場合は運輸局側で却下処分が下されます。通常は、2回とも役員法令試験で不合格の場合は、申請を取り下げて、再申請をいたします。

行政書士法人シグマでは、法令試験対策のお手伝いもしていますので、不安をお持ちの方はご検討ください。

私どもの試験対策講座は、複数人の方が同時に受講されるセミナー形式のものと、マンツーマンの個別レッスン形式の2種類からお選び頂きます。

法令試験の出題範囲は?

出題の範囲は、以下の法令については、法令試験の実施日において施行されている内容から出題されます。

  1. 貨物自動車運送事業法
  2. 貨物自動車運送事業法施行規則
  3. 貨物自動車運送事業輸送安全規則
  4. 貨物自動車運送事業報告規則
  5. 自動車事故報告規則
  6. 道路運送法
  7. 道路運送車両法
  8. 道路交通法
  9. 労働基準法
  10. 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年2月9日 労働省告示第7号)
  11. 労働安全衛生法
  12. 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
  13. 下請代金支払遅延等防止法

設問方式は○×方式及び語群選択方式となっており、出題数は30問です。

30問のうち、24問以上正解しないと、不合格になってしまいます。受験の際は参考資料等の持ち込みが出来ないため、事前に試験対策を行う必要があるでしょう。

具体的な試験対策は、条文集を引きながら過去問の演習をするに尽きると考えます。当法人が実施する役員法令試験対策では、過去問を使った試験勉強のサポートを行っております。

一般貨物自動車運送事業の許可基準

手続きの流れはここまでとして、一般貨物自動車運送事業の許可基準についてご説明しましょう。

許可取得のためには、貨物自動車運送事業法及び営業所の所在地を管轄する運輸局が定めた基準を満たしている必要があります。許可の基準は項目ごとに分けると次の8つに分けることができます。

  • 営業所
  • 休憩・睡眠施設
  • 車庫
  • 車両
  • 運行管理体制
  • 法令遵守
  • 損害賠償能力
  • 資金計画

許認可の要件は、「人(ヒト)」「物(モノ)」「金(カネ)」の3つの観点に分類されると一般的に言われているのですが、一般貨物自動車運送事業の許可要件は人・物・金に加えて、許可取得後の運行管理体制までもが、許可要件として求められています。

以下8つの許可基準の項目について、当法人の業務取扱エリアである関東運輸局管内に営業所を設置した場合の基準について掘り下げていきたいと思います。

関東運輸局以外の許可基準については、それぞれの運輸局のホームページをご確認頂くか、運輸局へ直接お問い合わせをお願い致します。

営業所の要件

自己所有物件・賃貸物件のいずれでも構いませんが、使用権原を有することの裏付けがあることが必要です。

使用権原を有することの裏付け書類としては、自己所有物件の場合は申請法人が所有者として記載されている不動産登記簿謄本、賃貸物件の場合は申請法人が賃借人として記載されている、賃貸借契約書が必要になります。

社長個人名義になっている場合は、申請法人に使用権限があるとは言えませんので、対策を行う必要があります。また、賃貸物件の場合、賃貸借の契約期間が2年に満たない場合は、契約期間満了時に自動更新される旨の記載が契約書に記載されている必要があります。

農地法、都市計画法、建築基準法等の制限

農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令に抵触している物件を、営業所として使用することは認められておりません。

営業所を設置しようとする土地の登記簿上の地目が、田・畑の場合は農地転用手続きが必要になりますし、市街化調整区域内に営業所を設置する場合は、原則、開発許可が必要になります。

また、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域では、用途地域内の建築物の用途制限との関係で、一般貨物自動車運送事業の営業所を設置することはできません。違法建築物の営業所も認められないため、市街化調整区域にプレハブを置き、そこを営業所とすることは難しいでしょう。

営業所の面積について

「何平方メートル以上必要」という面積の規定はありませんが、現実的には、一般貨物自動車運送事業の経営や運行を管理する上で必要となる、事務机、法定帳簿類などを保管する棚、電話、FAX、コピー機などの事務機器を設置できる面積を確保する必要があるかと思います。また、点呼の際に使用するアルコール検知器の準備をお忘れなく。営業所が一般貨物自動車運送事業に必要な備品があるかどうかの確認のため、営業所外部・内部を撮影した写真の提出が求められます。

休憩・睡眠施設の要件

一般貨物自動車運送事業の休憩睡眠施設は、それだけを単独で設置することはできません。

営業所に併設する運送会社様が多いのですが、営業所に併設できない場合は、車庫に併設させる必要があります。営業所に併設させる場合は、営業所で使用する部分と運転者の休憩睡眠施設で使用する部分は別々であることが求められるため、休憩睡眠施設の部分はパーテーションなどで区画しておいた方がよいでしょう。休憩睡眠施設内に運転者が使用する設備備品があることの確認方法は、写真を撮影してそれを提出します。

休憩・睡眠施設の面積

面積は、運転者に睡眠を与える必要がある場合は2.5㎡/1人当たり以上の広さを確保しなければなりませんが、運転者が休憩睡眠施設では睡眠をとらない場合は、いつでも休憩できるようにテーブルや椅子、ソファーなどを設置すれば十分です。

使用権原を有すること、農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令に抵触しない施設であるという基準は、営業所と同じです。

車庫の要件

原則として営業所に併設することが求められておりますが、併設できない場合でも、営業所と車庫の直線距離が次の距離であれば、一般貨物自動車運送事業の車庫として使用できます。

営業所の所在地 直線距離
東京都(23区)、神奈川県(川崎市・横浜市) 20㎞以内
東京都(23区を除く)、神奈川県(川崎市・横浜市を除く)、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県 10㎞以内

とはいえ、営業所と車庫が離れていると、運転者や運行管理者が行き来するだけで負担になりますし、運行管理をするうえで不便です。可能ならば営業所の近くに車庫を設置した方が許可後の事業運営の負担を減らすことができるでしょう。

車庫の前面道路の幅員

車庫の前面道路の幅員が、車両制限令に抵触していないことが求められています。幅員の確認方法は、幅員証明書に記載されている数値によって判断されるため、幅員証明書の取得が必要になります(国道の場合は不要です)。

前面道路の幅員は6.5m以上あれば問題ありませんが、6.5m未満の場合は、その道路の所在地によっては、通行可能な車幅の制限を受けることがあります。場所によっては、2.5m幅の車両を駐車する車庫として使用できない場合がありますので、細かく調査を行う必要があります。

従って、車庫の候補物件が見つかったら、道路管理者(市区町村や都県)より、幅員証明書を取得されることをお勧めしております。

車庫の面積(広さ)

一般貨物自動車運送事業に使用する車両全てか駐車できる広さが必要になります。車両を駐車した状態でも日常点検が実施できるようスペースが必要になるため、車両を寸止め状態にして詰め込むことは認められていません。

車両と車庫の境界及び車両相互間に50センチメートル以上の間隔を確保する必要があります。関東運輸局管内にある営業所の場合、車種区分毎の1両あたりの必要収容能力の参考値が公表されています。

車種区分 1両あたりの必要収容能力
普通貨物自動車 38㎡
小型貨物自動車 11㎡
牽引車 27㎡
被牽引車 36㎡

この参考値を基に車庫の所要面積を計算した結果、車庫面積(収容能力)に余裕がない場合は、車両の大きさが記載された明細書や車両配置図が必要になります。

車庫に関するその他の注意点

車庫も他の輸送施設と同様に、自己所有又は賃貸借契約などの使用権限を有することが求められます。

車庫は市街化調整区域内でも設置することは可能ですが、農地をそのまま車庫に使用することはできず、農地を車庫に使用するためには農地転用の手続きを行わなければなりません。とはいえ、農地転用手続きは転用したい農地によってはハードルが高い場合があり、その場合は時間と手間がどうしてもかかってしまいます。いろいろチャレンジしだけど農地転用手続きができなかったというケースもあります。農地を車庫として使用したい場合は、まずはじめに、その農地を管轄する農業委員会に相談を行いましょう。

車庫は屋根がなくても問題ありません。もし、屋根のある車庫や車庫敷地内に屋根のある整備場を設ける場合は、建物が都市計画法や建築基準法違反にならないよう注意が必要です。

車庫の適格性についての確認方法は、車庫の写真を撮影してそれを提出する方法によって行います。

車両の要件

営業所ごとに5台以上の貨物自動車が必要になります。一般貨物自動車運送事業に使用できる貨物自動車は緑色のナンバーがついた車両に限定されるため、黒色のナンバーがついた軽貨物自動車は、最低車両数の5台の中に入れることはできません。

また、使用する貨物自動車がトラクターとトレーラーの場合は、トラクター(牽引車)+トレーラー(非牽引車)をセットで1台とカウントします。それぞれを1台、計2台とはカウントしません。

貨物自動車の使用権限

事業に使用する貨物自動車は、使用権限を有することが求められます。

車両の所有権限の有無は、車検証上の所有者又は使用者の欄に一般貨物自動車運送事業者が記載されることを言います。従って、自己所有に限らず、リース会社より借り受けている車両であっても、事業に使用することができます。

車両は許可申請時に現車がなくても、車両が特定できて、売買契約、譲渡契約、リース契約が締結されている状態であれば、使用権限があると判断されます。

運行管理体制の要件

許可を取得するためには、一般貨物自動車運送事業を適正に運営できる管理体制が整えられていることが必要になります。適正に運営できる管理体制で重要になるのは次の項目です。

運転者を常に確保できる体制であること。日々雇い入れられる者、2月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)は一般貨物自動車運送事業の運転者に選任することはできません。

運行管理者と整備管理者

選任が義務づけられている員数の常勤の運行管理者・整備管理者を確保できることが必要です。運行管理補助者を選任せずに運行管理者が1名の場合は、運行管理者は運転者と兼務はできません。

なお、整備管理者は運転者との兼務は可能です。また、運行管理者と整備管理者も兼務可能です。従って、最低車両数の5台で許可を取得するためには、運転者ではない運行管理者1名と運転者5名の計6名が最低必要員数となります。

運転者の労働条件

運転者の拘束時間・運転時間といった労働条件が、「改善基準告示」と呼ばれる基準に合致していることが求められます。

運行管理の体制

運行管理の担当役員などの運行管理に関する指揮命令系統が明確になっていること、車庫が営業所に併設されていない場合は、車庫と営業所が携帯電話などを使って常時密接に連絡を取れる体制が確保されており、点呼が確実に実施できる体制が確立されていることも求められます。

事故防止や危険品

事故防止についての教育・指導体制や、万が一の事故発生時の報告体制が整備されており、危険品の運送を行う事業者は、消防法等関係法令に定める取扱資格者が確保されていることが求められます。

法令遵守の要件

申請者又はその法人の役員が、貨物自動車運送事業の遂行に法令知識を有しており、かつ、その法令を遵守することが求められます。法令知識の確認のため、役員法令試験を受験して頂く合格して頂く必要があります。また、社会保険加入義務がある事業者は、社会保険に加入することも求められます。

常勤役員の欠格事由

申請者又は申請者が法人である場合は、その法人の業務を執行する役員が欠格事由に該当していないことが求められます。

欠格事由は貨物自動車運送事業法や公示に規定されております。

貨物自動車運送事業法では、

  • 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、その執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない方
  • 一般貨物自動車運送事業許可・特定貨物自動車運送事業許可取消しの行政処分を受けその取消しの日から5年を経過していない方
  • 処分逃れのため自主廃業を行ってから5年を経過していない方
  • 親会社・子会社・グループ会社等が一般貨物自動車運送事業許可・特定貨物自動車運送事業許可取消しの行政処分を受けその取消しの日から5年を経過しない方

などが、欠格事由として規定されています。

また、関東運輸局長の公示に規定されている欠格事由は、貨物自動車運送事業法や道路運送法の違反により、申請日前6か月間(悪質な違反については1年間)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する役員として在任したものを含む)ではないことです。

2019年11月より欠格事由が追加となり厳格化しました。詳細については、法令もしくは公示をご確認ください。

巡回指導

許可取得後、運輸開始後から1か月~3か月が経過すると、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が営業所を訪問して法令遵守体制の確認を行う『巡回指導』が行われます。この巡回指導の評価が悪く、改善が見込まれない場合には、運輸支局の監査が実施されます。ですので、最初の巡回指導が終わるまでは、許可取得手続きだと思われた方がよいでしょう。最初の巡回指導で高評価を得られると、何もなければ次の巡回指導は2~3年後に実施されます。

損害賠償能力の要件

対人賠償額「無制限」、そして最低でも対物賠償額「200万円以上」の任意保険に加入することが求められます。とはいえ、多くの運送事業者は、対人・対物ともに無制限の任意保険に加入されております。

また、危険物の輸送に使用する事業用自動車は、上記の任意保険に加えて、危険物輸送に対応する適切な保険に加入する計画があることも求められます。

資金計画の要件

事業の開始に要する資金(所要資金)の見積が適切なものであり、その所要資金の合計と同額もしくはそれ以上の自己資金が必要になります。

車両費+建物費+土地費+保険料+各種税+運転資金+登録免許税=所要資金となります。

車両費 一括購入の場合:取得価格全額

 

分割購入の場合:頭金+1年分の割賦金

リースの場合:1年分の賃借料

建物費 一括購入の場合:取得価格全額

 

分割購入の場合:頭金+1年分の割賦金

賃貸の場合:敷金等の初期費用+1年分の賃借料

土地費 一括購入の場合:取得価格全額

 

分割購入の場合:頭金+1年分の割賦金

賃貸の場合:敷金等の初期費用+1年分の賃借料

保険料 自賠責保険料、任意保険料の1年分

 

危険物の運送を行う場合は、危険物に対応する賠償保険料1年分

各種税 租税公課の1年分
運転資金 人件費、燃料油脂費、修繕費などの6か月分
登録免許税 許可取得後に関東運輸局へ納付する12万円

自己資金の注意点

自己資金は、申請日以降許可日までの間、常時確保されていることが必要です。

自己資金は預貯金が基本となります。預貯金の額の立証方法は、申請日時点と審査中適宜の時点での金融機関が発行した残高証明書(原本)又は預金通帳(写し)をもって行います。

もし、自己資金が預貯金額だけでは足りない場合、関東運輸局が認めた場合に限り、預貯金以外の売掛金等(流動資産)も含めることもできます。この場合、流動資産の額の立証方法は、申請日時点及び審査中適宜の時点の「見込み貸借対照表」に記載された金額となります。自己資金に流動資産を含めたい場合は、運輸局との事前調整を密に行う必要があるでしょう。

自己資金額=資本金額でもありませんのでご注意ください。

資金計画と自己資金の検討は最初に検討を

一般貨物自動車運送事業の許可取得の要件で、最初に検討しなければならないのが資金計画、特に自己資金だと考えます。つまり、自己資金をいくら調達できるかポイントになります。

もっとも、「自己資金をいくら準備すれば許可を取得できますか?」というご相談をよく承りますが、それは事業者様の事情によって異なるため、一般論でお答えすることはできません。

どちらの場所に、どのくらいの規模感の営業所・車庫を設置するのか、事業に使用する車両の台数、最大積載トン数、装備、その車両は新車で購入するのか、中古車を購入するのか、車両はすでに所有しているものを使うのか、リース車両なのか、そういった事業計画の内容により事業開始に必要な自己資金額は異なってきます。営業所・車庫に使用する土地・建物を所有していれば許可申請の自己資金は少なくできますが、賃貸物件の場合は1年分の賃料を自己資金として確保しなければなりませんので、それだけでもそれなりの金額になるのではないでしょうか。

ご参考までにお伝えしますと、東京・神奈川・千葉の都市部において運送会社を開業した場合、営業所・休憩睡眠施設・車庫の賃借料や車両5台分のリース料などを合算した所要資金は、2,500万円近くになるのではと思います。どうしても人件費だけでも1,500万円近くの額を計上することになるため、自己資金1,000万円前後で新規許可を取得するのは、一昔前の話だと思います。

仮に、営業所・車庫を自社所有の土地・建物を使用し、車両5台の所有権がある状態であっても、100万円、200万円の自己資金では、一般貨物自動車運送事業許可を取得するのは難しいでしょう(霊きゅう運送は除く)。

一般貨物自動車運送事業許可と行政書士

一般貨物自動車運送事業の許可申請手続きは、非常に難易度が高い行政手続きです。許可取得の難易度は、以前はここまで高くありませんでしたが、法令改正が実施されるたびに厳しくなってきています。

したがって、運輸局の手引きに書かれている必要書類をただ揃えて運輸局へ提出すれば、許可を取得できるようなものではありません。

早く・確実に許可を取得して、運行を開始したい事業者さんは、許認可申請の専門家である行政書士に依頼されることをお勧めいたします。全国では5万人強の行政書士がおりますが、すべての行政書士が一般貨物運送事業の許可申請手続きに精通しているわけではありません。行政書士ごとに専門分野があります。

行政書士法人シグマの手続き代行の概要

当法人へ一般貨物自動車の許可申請手続きご依頼頂いた場合の報酬額目安は、以下のとおりです。

報酬額 77万円~(税込)
その他の諸費用 登録免許税(12万円)、郵送費・交通費・幅員証明書取得手数料などの実費は別途申し受けます。

一般貨物自動車運送事業許可サポートの内容

営業所・休憩睡眠施設・車庫の要件調査  〇
道路幅員証明書の代理取得  〇
運輸局・運輸支局との事前確認・相談  〇
提出書類の作成  〇
営業所・休憩睡眠施設・車庫の確認写真の撮影
経営許可申請書の提出  〇
役員法令試験対策  〇
運行管理者・整備管理者の選任届  〇
運輸開始前の確認報告の提出  〇
事業用自動車等連絡書の取得  〇
運賃料金設定の届出  〇
運輸開始の届出  〇

他の行政書士事務所さんと比較すると当法人の報酬額が割高感を感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。私どもでは、申請書類の代書・提出代行に留まらず、許可要件の調査やコンサルティング、役員法令試験対策、許可取得後の運輸支局での細かい手続きまでを包括的に提供しております。

さらに、許可取得までのスケジュール管理や、申請前・審査中の運輸局対応まで全て私どもが対応いたします。お客様の一般貨物許可申請手続きを手厚くサポートするためには、他の行政書士事務所さんよりも、報酬額が高めになってしまうのです。

許可取得後の堅実な事業活動を行いたい、許可申請手続きで失敗したくない、というお客様より、当法人の許認可申請サービスをお選び頂いております。

法令遵守状況のアドバイザリー

当法人が提供中の法令順守状況のアドバイザリーサービスは、運転日報や点呼記録簿、教育記録簿などの運送事業者様が作成し保管しなければならない帳票類の作成及び保管状況を確認するともに、運営上の問題点を改善提案する顧問契約型のアドバイザリーサービスです。ご希望の事業者様には、事故防止に有効な動画教材の提供もしております。

また、Gマーク認定や働きやすい職場認証の取得を目指される運送事業者様にもシグマの顧問契約をお選び頂いております。

  • 自社だけでは法令遵守体制の構築が難しい
  • 運送法務に詳しい専門家にアドバイザーについて欲しい
  • 運輸局への手続きを正確かつ迅速に行いたい
  • Gマーク認定・働きやすい職場認証の取得を目指している

一般貨物自動車運送事業の許認可でお困りの方は、当法人までお電話・メールにてお問合せ頂ければと思います。

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