一般貨物自動車運送事業を始めるには

緑ナンバーの貨物自動車(トラック・バンなど)を使用して、荷主の依頼を受けて荷物を運送し、運賃を受取る事業のことを、一般貨物自動車運送事業と言います。

一般的には『トラック運送業』や、『運送業』とも呼ばれています。単に『運送会社』と呼ばれるのも一般的でしょうか。この事業を始めるには、国土交通大臣の許可を受けなければならないと、貨物自動車運送事業法に記載されております。

一般貨物自動車運送事業の許可

それでは、一般貨物自動車運送事業の許可取得はどの事業者様でも簡単にできるものなのでしょうか。

「白色のナンバーを緑色に変えるだけだから簡単に取得できる」と思われている方も、当法人のご相談者の中にはいらっしゃいましたが、実は一般貨物自動車運送事業許可取得のハードルはとても高いです。

そして、この許可取得のハードルは法令の改正を重ねるごとに厳しくなってきております。許可取得を検討されている方は、早めに動かれた方がよいでしょう。

 営業開始までの手続きは手間も時間もかかる

一般貨物自動車運送事業許可は、許可基準を満たすのが難しい上、許可申請の準備に着手してから事業開始までも時間がかかる許認可です。

許可取得までは、順調に手続きが進んだ場合でも、営業開始までは6か月の期間が必要でしょう。営業所や車庫の候補地選定や役員法令試験が再試験になってしまうと、営業開始までさらに期間を要することになります。

一般貨物自動車運送事業営業までの流れ

営業開始までの流れは次のとおりです。

  1. 許可基準の確認
  2. 事業計画の作成
  3. 営業所の所在地を管轄する運輸支局へ申請書を提出
  4. 役員法令試験の受験
  5. 運輸局での書類審査(標準処理期間:3~4か月)
  6. 一般貨物自動車運送事業の許可取得
  7. 運行管理者・整備管理者の選任届
  8. 運輸開始前の確認報告
  9. 車両の登録
  10. 運賃料金設定届出の提出
  11. 営業開始(※営業開始は許可取得から1年以内に行わなければなりません。)
  12. 運輸開始届出の提出

運輸局の標準処理期間とは

標準処理期間とは、申請者が運輸支局へ提出した許可申請書が運輸局に到達して、審査に通常要すべき標準的な期間のことを言います。

標準処理期間は、提出書類に不足や不備ない場合の期間のため、もしも、提出書類に不備や不足があると、その修正が終わるまでは運輸局の審査は中断してしまいます。従って、早く許可を取得するためには、運輸局の審査を標準処理期間内に終えることが目標になります。

そのためには、精度の高い申請書類を準備することや、運輸局から不備や不足の連絡があったら、速やかにその修正を行うといったことが必要です。

法令試験の合格が求められる

さらに、一般貨物自動車運送事業の許可を取得するためには、運輸局が実施する法令試験に合格しなければなりません。

法令試験は、運輸支局が申請書を受理した後の奇数月に運輸局にて実施されます。役員法令試験を受験して頂く方は、一般貨物自動車運送事業に専従する役員の方です。

法令試験の結果が不合格の場合は、翌々月に1回だけ再試験を受けることができます。再試験においても残念ながら合格点に達しない場合は、その申請は申請者が取下げるか、取下げない場合は却下処分となります。

法令試験の出題範囲は?

出題の範囲は、以下の法令については、法令試験の実施日において施行されている内容から出題されます。

  1. 貨物自動車運送事業法
  2. 貨物自動車運送事業法施行規則
  3. 貨物自動車運送事業輸送安全規則
  4. 貨物自動車運送事業報告規則
  5. 自動車事故報告規則
  6. 道路運送法
  7. 道路運送車両法
  8. 道路交通法
  9. 労働基準法
  10. 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年2月9日 労働省告示第7号)
  11. 労働安全衛生法
  12. 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
  13. 下請代金支払遅延等防止法

設問方式は○×方式及び語群選択方式となっており、出題数は30問です。

30問のうち、24問以上正解しないと、不合格になってしまいます。受験の際は参考資料等の持ち込みが出来ないため、事前に試験対策を行う必要があるでしょう。

一般貨物自動車運送事業の許可基準

手続きの流れはここまでとして、一般貨物自動車運送事業の許可基準についてご説明しましょう。

許可取得のためには、貨物自動車運送事業法及び営業所の所在地を管轄する運輸局が定めた基準を満たしている必要があります。許可の基準は項目ごとに分けると次の8つに分けることができます。

  • 営業所
  • 休憩・睡眠施設
  • 車庫
  • 車両
  • 運行管理体制
  • 法令遵守
  • 損害賠償能力
  • 資金計画

許認可の要件は、「人(ヒト)」「物(モノ)」「金(カネ)」の3つの観点に分類されると一般的に言われているのですが、一般貨物自動車運送事業の許可要件は人・物・金に加えて、許可取得後の運行管理体制までもが、許可要件として求められています。

以下8つの許可基準の項目について、当法人の業務取扱エリアである関東運輸局管内に営業所を設置した場合の基準について掘り下げていきたいと思います。

関東運輸局以外の許可基準については、それぞれの運輸局のホームページをご確認頂くか、運輸局へ直接お問い合わせをお願い致します。

営業所の要件

自己所有物件・賃貸物件のいずれでも構いませんが、使用権原を有することの裏付けがあることが必要です。

使用権原を有することの裏付け書類としては、自己所有物件の場合は申請法人が所有者として記載されている不動産登記簿謄本、賃貸物件の場合は申請法人が賃借人として記載されている、賃貸借契約書が必要になります。

社長個人名義になっている場合は、申請法人に使用権限があるとは言えませんので、対策を行う必要があります。また、賃貸物件の場合、賃貸借の契約期間が1年に満たない場合は、契約期間満了時に自動更新される旨の記載が契約書に記載されている必要があります。

農地法、都市計画法、建築基準法等の制限

農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令に抵触している物件を、営業所として使用することは認められておりません。

営業所を設置しようとする土地の登記簿上の地目が、田・畑の場合は農地転用手続きが必要になりますし、市街化調整区域内に営業所を設置する場合は、原則、開発許可が必要になります。

また、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域では、用途地域内の建築物の用途制限との関係で、一般貨物自動車運送事業の営業所を設置することはできません。違法建築物の営業所も認められないため、市街化調整区域にプレハブを置き、そこを営業所とすることは難しいでしょう。

営業所の面積について

「何平方メートル以上必要」という面積の規定はありませんが、現実的には、一般貨物自動車運送事業の経営や運行を管理する上で必要となる、事務机、法定帳簿類などを保管する棚、電話、FAX、コピー機などの事務機器を設置できる面積を確保する必要があるかと思います。

休憩・睡眠施設の要件

一般貨物自動車運送事業の休憩睡眠施設は、それだけを単独で設置することはできません。

営業所に併設する運送会社様が多いのですが、営業所に併設できない場合は、車庫に併設させる必要があります。営業所に併設させる場合は、営業所と休憩睡眠施設は、パーテーションなどで仕切られていなければなりません。

休憩・睡眠施設の面積

面積は、運転者に睡眠を与える必要がある場合は2.5㎡/1人当たり以上の広さを確保しなければなりませんが、運転者が休憩睡眠施設では睡眠をとらない場合は、いつでも休憩できるようにテーブルや椅子、ソファーなどを設置すれば十分です。

使用権原を有すること、農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令に抵触しない施設であるという基準は、営業所と同じです。

車庫の要件

原則として営業所に併設することが求められておりますが、併設できない場合でも、営業所と車庫の直線距離が次の距離であれば、一般貨物自動車運送事業の車庫として使用できます。

営業所の所在地 直線距離
東京都(23区)、神奈川県(川崎市・横浜市) 20㎞以内
東京都(23区を除く)、神奈川県(川崎市・横浜市を除く)、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県 10㎞以内

とはいえ、営業所と車庫が離れていると、運転者や運行管理者が行き来するだけで負担になりますし、運行管理をするうえで不便です。営業所の近くに車庫を設置した方がよいでしょう。

車庫の前面道路の幅員

車庫の前面道路の幅員が、車両制限令に抵触していないことが求められています。幅員の確認方法は、幅員証明書に記載されている数値によって判断されるため、幅員証明書の取得が必ず必要になります(国道の場合は不要です)。

前面道路の幅員は6.5m以上あれば問題ありませんが、6.5m未満の場合は、その道路の所在地によっては、2.5m幅の車両を駐車する車庫として使用できない場合がありますので、細かく調査をする必要があります。

従って、車庫の候補物件が見つかったら、道路管理者(市や都県)より、幅員証明書を取得しましょう。

車庫の面積(広さ)

一般貨物自動車運送事業に使用する車両全てか駐車できる広さが必要になります。車両を駐車した状態でも点検ができるようスペースが必要になるため、車両を寸止め状態にして詰め込むことは認められていません。車両と車庫の境界及び車両相互間に50センチメートル以上の間隔を確保する必要があります。一般的には、積載トン数毎に以下の面積以上の車庫が必要だと言われています。

積載トン数 1両あたりの必要収容能力
7.5トンを超えるもの 38㎡
2.0トンロング超~7.5トンまで 28㎡
2.0トンロング 20㎡
2.0トンまで 15㎡

車庫に関するその他の注意点

車庫も他の輸送施設と同様に、自己所有又は賃貸借契約などの使用権限を有することが求められます。

車庫は市街化調整区域内でも設置することは可能ですが、農地をそのまま車庫に使用することはできず、農地を車庫に使用するためには農地転用許可を取得しなければなりません。とはいえ、農地転用許可の取得はハードルが高い上、時間と手間がかかるので、現実的には農地を車庫に使用する運送会社は少数だと思います。

屋根のある車庫や車庫敷地内に屋根のある整備場を設ける場合は、都市計画法や建築基準法違反にならないよう注意が必要です。

車両の要件

営業所ごとに5台以上の貨物自動車が必要になります。一般貨物自動車運送事業に使用できる貨物自動車は緑色のナンバーがついた車両に限定されるため、黒色のナンバーがついた軽貨物自動車は、最低車両数の5台の中に入れることはできません。

また、使用する貨物自動車がトラクターとトレーラーの場合は、トラクター(牽引車)+トレーラー(非牽引車)をセットで1台とカウントし、それぞれを1台、計2台とはカウントしません。

貨物自動車の使用権限

事業に使用する貨物自動車は、使用権限を有することが求められます。

車両の所有権限の有無は、車検証上の所有者又は使用者の欄に一般貨物自動車運送事業者が記載されることを言います。従って、自己所有に限らず、リース会社より借り受けている車両でも、事業に使用することができます。

車両は許可申請時に取得していなくても、車両が特定され、売買契約、譲渡契約、リース契約が締結されている状態であれば、使用権限があると判断されます。

運行管理体制の要件

許可を取得するためには、一般貨物自動車運送事業を適正に運営できる管理体制が整えられていることが必要になります。適正に運営できる管理体制で重要になるのは次の項目です。

運転者を常に確保できる体制であること。日々雇い入れられる者、2月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)は一般貨物自動車運送事業の運転者に選任することはできません。

運行管理者と整備管理者

選任が義務づけられている員数の常勤の運行管理者・整備管理者を確保できることが必要です。運行管理者は運転者の点呼や運行管理を行うため、運転者との兼務はできません。

整備管理者は、運転者との兼務は可能です。また、運行管理者と整備管理者は、兼務可能です。従って、最低車両数の5台で許可を取得するためには、運転者ではない運行管理者1名と運転者5名の計6名が最低必要員数となります。

運転者の労働条件

運転者の勤務時間・乗務時間といった労働条件が、改善基準告示と呼ばれる基準に合致していることが求められます。

運行管理の担当役員などの運行管理に関する指揮命令系統が明確になっていること、車庫が営業所に併設されていない場合は、車庫と営業所が携帯電話などを使って常時密接に連絡を取れる体制が確保されており、点呼が確実に実施できる体制が確立されていること。

事故防止や危険品

事故防止についての教育・指導体制や、万が一の事故発生時の報告体制が整備されていること。

危険品の運送を行う事業者は、消防法等関係法令に定める取扱資格者が確保されていること。

法令遵守の要件

申請者又はその法人の役員が、貨物自動車運送事業の遂行に法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること。

社会保険加入義務がある事業者は、社会保険に加入すること。

常勤役員の欠格事由

申請者又は申請者が法人である場合は、その法人の業務を執行する常勤の役員が欠格事由に該当していないこと。

欠格事由とは、貨物自動車運送事業法や道路運送法の違反により、申請日前3か月(悪質な違反については6か月)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任したものを含む)ではないことです。

なお、許可書交付時等に指導講習を受講するとともに、運輸開始の届出後1か月以降3か月以内に実施される巡回指導を受け、その巡回指導によっても改善が見込まれない場合には、運輸支局の監査を受けること。

損害賠償能力の要件

対人賠償額「無制限」の任意保険に加入すること。

危険物の輸送に使用する事業用自動車は、対人無制限の任意保険に加えて、危険物輸送に対応する適切な保険に加入する計画があること。

資金計画の要件

事業の開始に要する資金(所要資金)の見積が適切なものであり、その所要資金の合計と同額もしくはそれ以上の自己資金が必要になります。

車両費+建物費+土地費+保険料+各種税+運転資金+登録免許税=所要資金となります。

車両費 一括購入の場合:取得価格全額

分割購入の場合:頭金+6か月分の割賦金

リースの場合:6か月分の賃借料

建物費 一括購入の場合:取得価格全額

分割購入の場合:頭金+6か月分の割賦金

賃貸の場合:敷金等の初期費用+6か月分の賃借料

土地費 一括購入の場合:取得価格全額

分割購入の場合:頭金+6か月分の割賦金

賃貸の場合:敷金等の初期費用+6か月分の賃借料

保険料 自賠責保険料、任意保険料の1年分

危険物の運送を行う場合は、危険物に対応する賠償保険料1年分

各種税 租税公課の1年分
運転資金 人件費、燃料油脂費、修繕費などの2か月分
登録免許税 許可取得後に関東運輸局へ納付する12万円

自己資金の注意点

自己資金は、申請日以降許可日までの間、常時確保されていることが必要です。

預貯金が基本となりますが、預貯金で足りない場合は、預貯金以外の売掛金等(流動資産)も含めることができます。預貯金の額の立証方法は、金融機関が発行する残高証明書の原本又は預金通帳の写しをもって行います。流動資産の額の立証方法は、申請日の前月末日付け「見込み貸借対照表」に記載された金額がそれになります。

資金計画と自己資金の検討は第一に検討

一般貨物自動車運送事業の許可取得の要件で、最初に検討しなければならないのが資金計画、特に自己資金だと考えます。つまり、自己資金をいくら調達できるかポイントになります。

もっとも、「自己資金をいくら準備すれば許可を取得できますか?」というご相談をよく承りますが、それは事業者様の事情によって異なるため、一般論でお答えすることはできません。

どこに、どの規模の事業に必要な営業所・車庫などの施設を設置するのか、事業に使用する車両の台数、最大積載トン数、装備、その車両は新車で購入するのか、中古車を購入するのか、車両はすでに所有しているものを使うのか。そういった事業計画の内容により事業開始に必要な自己資金額は異なってきます。

ご参考までにお伝えしますと、首都圏においては、事業用施設の賃借料や車両5台分のリース料などを合算した所要資金は、1,000万円以上になると思われます。100万円、200万円の自己資金では、一般貨物自動車運送事業の許可取得は難しいといえるでしょう。

一般貨物自動車運送事業許可と行政書士

一般貨物自動車運送事業の許可取得手続きは、非常に難易度が高い行政手続きです。許可取得の難易度は、以前はここまで高くありませんでしたが、法令改正が実施されるたびに厳しくなってきています。

したがって、運輸局の手引きに書かれている必要書類をただ揃えて運輸局へ提出すれば、許可を取得できるようなものではありません。

早く・確実に許可を取得して、運行を開始したい事業者さんは、営業許可取得の専門家である行政書士に依頼されることをお勧めいたします。

行政書士法人シグマの手続き代行の概要

当法人へ一般貨物自動車の許可申請手続きご依頼頂いた場合の報酬額目安は、以下のとおりです。

報酬額 45万円~(税別)
その他の諸費用 登録免許税(12万円)、郵送費・交通費・幅員証明書取得手数料などの実費は別途申し受けます。

 

一般貨物自動車運送事業許可サポートの内容

営業所・休憩睡眠施設・車庫の要件調査  ○
道路幅員証明書の代理取得  ○
運輸局・運輸支局との事前確認・相談  ○
提出書類の作成  ○
経営許可申請書の提出  ○
役員法令試験対策  ○
運行管理者・整備管理者の選任届  ○
運輸開始前の確認報告の提出  ○
事業用自動車等連絡書の取得  ○
運賃料金設定の届出  ○
運輸開始の届出  ○

法令遵守状況のアドバイザリー

当法人へ許可取得手続きをご依頼頂いた運送事業者様限定で、運輸開始後1か月間、「法令遵守状況のアドバイザリーサービス」を無償提供いたします。

法令順守状況のアドバイザリーサービスは、運転日報や点呼記録簿などの運送事業者様が作成し保管しなければならない帳票類の作成及び保管状況を確認するともに、運営上の問題点を改善提案する顧問型のアドバイザリーサービスです。

その後の事業継続を安心して行えると好評を頂いておりますので、一般貨物自動車運送事業の許可でお困りの方は、当法人までお電話・メールにて一度ご相談ください。

ページトップへ戻る