許認可申請書類の保管方法

許認可申請時には多くの書類を行政に提出して審査を受けますが、許認可取得後にそれらの書類を適切に保存されていますでしょうか。

許可書・認可書だけを保存しておけば十分と思われている事業者さんはぜひ、この記事を読んで頂きたいです。

許認可申請は、行政へ書類を提出して終わりではありません。どの許認可も取得してから法令に則って管理していかなければなりません。この管理に失敗すると、最悪な場合、許認可が消えてしまうことがあります。

許認可の管理

許認可の管理には、次のような内容が想定されます。有効期限が定められている許認可であれば、有効期限の終期が近づいてきたら更新申請手続きを行われければなりません。会社名や本店、営業所の所在地、取締役や監査役に変更が生じたら変更手続きが必要になります。

さらに、人的要件が求められている許認可であれば、該当者に変更が生じたらその変更も行わなければなりません。

この変更手続きを行う際、大概の許認可において、変更内容の「新」と「旧」を提出書類に記載することになります。]

新の情報はこれから申請する内容ですので、すぐに記載することができます。では、旧の欄に記載する情報はどの書類を参照して記載すればよいでしょうか。

一般的には、行政に提出した過去の提出書類にその記載があるはずですから、過去に行政へ提出した書類の会社控えを参照しながら記載することになります。

会社控えが現存しない場合、情報開示請求手続きを使って必要な情報を取り寄せたり、建設業許可や宅建業免許であれば申請書類の閲覧制度を使って必要な情報を確認することができます。

閲覧制度を使ったとしても、行政での保存期間が過ぎているものは確認することができない上、個人情報に係る部分については自社の情報であっても確認することができません。

従いまして、許認可の管理をする上では、行政へ提出した書類の管理が基本となります。事業者さんの中には、行政機関に申請書類を提出されて受付されたら、一切、社内に情報が残っていない方もいらっしゃいますが、この状況では許認可を管理することは非常に難易度が高いです。

これから提出する書類からで構いませんので、社内に申請書類を保管するようにしましょう。

許認可申請書の管理方法

行政機関に提出した書類は、以下のルールに従って保存されると、許認可管理をする上で有益です。

  1. 行政へ提出書類の会社控えを準備する。
  2. 提出書類が受付されたら会社控えに受付印を貰う
  3. 申請書類を時系列でファイリングする
  4. 永久保存

1.会社控えを準備する

まず、行政へ提出する書類が整いましたら、全ての書類についてコピーをとりましょう。

申請書の表紙だけコピーされる方もいらっしゃいますが、添付書面も含めて行政へ提出する書類の全てのページが重要書類です。全ページのコピーを取りましょう。

例えば、運送業の許認可手続きでしたら、申請書と別紙だけをコピーされて、添付書面である図面や幅員証明書のコピーを取られない方もいらっしゃいます。しかし、図面や幅員証明書が将来必要になることがありますので、提出書類のすべてのコピーをお願い致します。そして、ここでコピーをした提出書類が、会社控えとなります。

2.受付になったら会社控えに受付印を貰う

行政に書類を提出する際は、行政へ提出書類に加えて、会社の控えを必ず持参して、提出してしましょう。

行政の窓口で書類を修正した場合は、その修正した内容を会社控えにも書き写してください。これは行政に提出した書類と会社控えを同じ内容にするために重要な作業です。

提出した書類を行政が受理した場合は、多くの行政窓口では受付印を捺印します。その受付印を会社控えにも押してもらってください。受付印には日付けが記載されておりますが、許認可を管理する上で、どの書類をいつ提出したかが重要になります。

古物商許可の手続きでは、提出先の道府県によっては、警察官は書類には受付印を捺印せずに、受領証を発行することがあります。この受領証は受付印と同じ意味があるものですので、会社控えと一緒にしておいてください。

3.申請書類を時系列でファイリングする

会社控えを会社に持ち帰ってきたら、クリアファイルのまま保管するのではなくて、ファイリングをしましょう。ファイルはポケットタイプではなくて、2穴のリングファイルがおすすめです。

ポケットタイプのファイルはそのまま会社控えを保管できるので便利ですが、書類を確認するときに、いちいちファイルから出さなければならないので不便です。また、ポケットから書類を出し入れするのは、紛失するリスクが高まります。

さらに、提出書類が多い申請書類はポケットファイルに格納できない場合があったり、ポケットの枚数分しか書類が保管できないため、申請書類が増えてくると融通が利かなくなります。

一方で、2穴のリングファイルは確かに穴あけパンチで穴を開ける手間がありますが、一度穴を開ければ時系列で重ねていけばよいので楽ですし、書類を見たい時もファイルからわざわざ出さなくても閲覧できるため、紛失するリスクはありません。

許認可申請書類を保管する2穴ファイルは、将来のことを見据えて、厚めのものをご使用ください。

4.永久保存

許認可証はもちろんですが、行政へ提出した申請書類の会社控えの保存期限は法定されておりません。行政へ提出した申請書類は、保存期限はないつまり永久保存すべき書類だと考えて頂いてもよいかと思います。さらに、当該許認可事業を廃業した後でも、申請書類は廃棄をせずに残しておいた方がよいでしょう。

もし、書類で残しておくスペースがない場合は、スキャナーでデータ化して、データとして保管することも検討されてみてはいかがでしょうか。

文:阪本浩毅(行政書士)

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