建築確認上の用途が「倉庫業を営む倉庫」でない物件の倉庫業登録|用途変更と確認表の取扱い

倉庫業登録のご相談では、建築確認上の用途が「倉庫業を営む倉庫」になっていない建物についてのお問い合わせを数多くいただきます。このページでは、その場合の考え方と、当法人がご依頼をお受けする条件についてご案内します。

建物用途が問題になる理由

倉庫業の登録は、施設設備基準への適合とあわせて、建築基準法をはじめとする関係法令に適合していることが前提となります。申請にあたっては、確認済証・検査済証に加えて建築確認申請書の写しも添付しますので、その第四面にある主要用途欄の記載が審査で確認されることになります。

この欄が「倉庫業を営む倉庫(コード08510)」となっているのが原則的な姿です。一方で、必ずしも08510でなければ登録できないというわけではなく、用途が異なる場合には、倉庫所在地を管轄する建築確認審査機関(特定行政庁の建築部局または指定確認検査機関)に対して、倉庫業を営むにあたって用途変更手続が必要かどうかを照会し、その結果を書面で示すという運用が取られています。

ここで重要なのは、用途変更の要否を判断するのは運輸局でも行政書士でもなく、建築確認審査機関であるという点です。建築基準法上の適合性判断は建築士の専門領域であり、当法人が「この用途なら大丈夫です」と申し上げられる性質のものではありません。

当法人の受任方針

建築確認上の用途が「倉庫業を営む倉庫」となっていない物件については、次のいずれかに該当する場合に限り、倉庫業登録申請のご依頼をお受けしています。

方針A|用途変更手続を行った物件

「倉庫業を営む倉庫」への用途変更手続を済ませ、これを証する書面が揃っている物件です。倉庫は建築基準法別表第一(五)項の特殊建築物にあたるため、当該部分の床面積が200㎡を超える場合には法第87条の用途変更の確認申請が必要となり、用途変更後の確認済証をご提出いただくことになります。

用途変更にあたっては、現行法規への適合を求められる範囲の確定、既存不適格の整理、消防用設備の見直しなど、建築士による検討が先行します。倉庫業登録のご相談は、その見通しが立った段階でお持ちいただくのが結果的に近道です。

方針B|用途変更が不要であることの確認が取れている物件

現況の用途が倉庫業を営む用途と類似の用途であり、建築基準法上の用途の変更にあたらないと整理できる場合があります。この場合、次の二つがいずれも揃っていることを条件としています。

  • 建築確認審査機関に対して照会を行い、用途変更手続を要しない旨の見解が得られていること
  • その照会結果を踏まえ、一級建築士が見解確認書を作成していること
  • 一級建築士が確認表を作成していること

照会および見解確認書・確認表の作成は、申請者様がご手配された建築士事務所において行っていただきます。

確認表は倉庫の種類ごとに様式が定められており、施設設備基準の確認項目それぞれについて、どの図面等を参照すれば確認できるかを一級建築士が集約して記名する添付書面です。用途が「倉庫業を営む倉庫」でない物件では、この確認表のうち関係法令適合性に関する部分を、照会で得られた見解によって裏づけていただくことになります。

建築士のご紹介は行っておりません

当法人では、照会や確認表作成を担う建築士事務所のご紹介は行っておりません。理由は次のとおりです。

  • 用途変更の要否は建築基準法上の専門的判断であり、行政書士が関与すべき領域ではないため
  • 確認表の内容について、作成者である建築士と申請者様との間で責任関係が明確であるべきと考えているため
  • 紹介関係が生じることで、判断の中立性が損なわれることを避けるため

建物の設計・施工に関与した建築士事務所、物件の管理会社、または所在地の建築士会などを通じてご手配ください。すでに設計図書を保有している事務所があれば、そちらが最も話が早いはずです。

確認表の下書き作成もお受けしておりません

確認表について、当法人が下書きを作成し、建築士事務所にご確認いただくという進め方をご提案いただくことがあります。この形はお受けしておりません。書面の性質上、確認表は一級建築士が白紙から作成するものと考えているためです。

確認表の本質は、書面の体裁ではなく、一級建築士が図面等を確認したという判断そのものにあります。各確認項目がどの図面のどこで裏づけられるのかを見極める作業と、その結果に記名して責任を負う行為は、切り離せません。行政書士が中身を組み立てて建築士が最後に目を通すだけという形では、判断を行った者と責任を負う者がずれてしまいます。

また、確認項目と図面の対応関係を最もよく把握しているのは、その建物の設計図書を作成した建築士事務所であり。既存物件の場合は現地調査を行った建築士事務所です。外部の者が対応関係を推測して起案し、それを追認する形にするよりも、図面を熟知した建築士が直接作成されるほうが、結果として早く、正確です。

当法人がお手伝いできるのは、申請に必要な図面の一覧化や、運輸局から求められる確認項目の一覧をお渡しするところまでです。これらは事実の整理にとどまり、適合性の判断を含みません。

物件の設計・施工や倉庫業登録申請のための調査業務を設計事務所や建設会社に委託される際は、倉庫業登録に必要な確認表の作成が業務範囲に含まれるかどうかを、契約の段階でご確認ください。

床の強度についての追加資料

用途が「倉庫業を営む倉庫」となっていない物件では、もう一つご負担が増える点があります。床の強度に関する資料です。

倉庫業の施設設備基準では、倉庫の種類に応じて床の強度が3,900N/㎡以上であることが求められます。用途が「倉庫業を営む倉庫」であれば、建築確認済証と検査済証の提出をもって足りるという扱いですが、用途が異なる場合はこれだけでは足りず、床の強度が3,900N/㎡以上あることが分かる資料、すなわち構造計算書等を別途ご提出いただくことになります。

この資料も建築士の領域です。竣工時の構造計算書が保管されていれば、その該当箇所を示すことで足りる場合が多い一方、図書が散逸している物件では、建築士による調査や再計算が必要になります。用途変更の要否と並行して、構造計算書が残っているかどうかを早い段階でご確認いただくことをおすすめします。

なお、重量物の保管やラックの設置を予定されている場合は、基準値を満たしていれば十分というわけではありません。想定する積載荷重に対する検討が別途必要になりますので、この点も建築士にご相談ください。

お引き受けできない場合

次のようなご相談については、恐れ入りますが受任を見合わせております。

  • 用途が異なるまま、照会も確認表もない状態で「まず申請してみたい」というご意向の場合
  • 建築士に依頼する予定がなく、用途の問題を書面で整理する見込みが立たない場合
  • 用途地域の制限により、そもそも当該地に営業倉庫を設けられない場合

いずれも、申請を受け付けてもらえない、あるいは審査の途中で止まることが見込まれるものです。着手金をお預かりしたうえで進まないという事態を避けるため、入口の段階でお伝えしています。

ご相談時にご用意いただきたい資料

資料 確認する内容
建築確認申請書(第一面~第四面) 第四面の主要用途欄の記載
確認済証・検査済証 取得の有無、記載内容との整合
建築図面一式 配置図・平面図・立面図・断面図・矩計図・建具表
構造計算書等 床の強度(3,900N/㎡以上)が確認できるか
物件所在地 用途地域、都市計画法上の制限
賃貸借契約書(賃借の場合) 使用権原、専有・共用部分の範囲

第四面の記載が「工場」「事務所」「危険物の貯蔵又は処理に供するもの」などとなっている場合は、その旨を初回のご相談時にお知らせいただけますと、以降の進め方をご案内しやすくなります。

進め方の目安

  1. 建築確認申請書・確認済証・検査済証および図面のご確認(申請者様・当法人)
  2. 用途地域その他の立地制限の確認
  3. 建築士事務所のご手配(申請者様)
  4. 建築確認審査機関への照会、用途変更の要否の確定(建築士)
  5. 用途変更手続、または確認表の作成(建築士)
  6. 倉庫業登録申請の受任・書類作成・運輸局への申請(当法人)

ステップ1・2の段階でのお問合せは歓迎しております。用途の問題が解けるかどうかの見通しによって、物件そのものの選び直しをご検討いただくケースもあります。

よくあるご質問

Q.確認表とはどのような書面ですか

倉庫業登録申請に添付する図面等を一級建築士が確認し、施設設備基準の確認項目ごとに、どの図面等を参照すればその項目を確認できるかを集約した添付書面です。使用権原、関係法令適合性、土地定着性、外壁・床の強度、防水・防湿・遮熱性能、耐火性能、災害防止措置、防火区画、消火設備といった項目が並び、それぞれに対応する図面や書類を対照させていく形になります。

書式は倉庫の種類ごとに定められており、国土交通省の倉庫業法のページ、および各地方運輸局のホームページに掲載されています。一類倉庫用、野積倉庫用、冷蔵倉庫用、危険品倉庫用というように倉庫の書類ごとに様式が分かれています。申請しようとする倉庫の種類に対応するものをご使用ください。

用途が「倉庫業を営む倉庫」でない物件では、このうち関係法令適合性の項目について、確認済証と検査済証だけでは説明がつきません。建築確認審査機関への照会が必要になるのはこのためで、得られた見解を記録した書面(見解確認書)を添えていただくことになります。あわせて、都市計画法上その場所で倉庫業を営んで差し支えないかについても確認が必要です。

Q.照会だけ代行していただけませんか

お受けしておりません。照会にあたっては建物の現況と図面を建築基準法の観点から読み解く必要があり、その結果は見解確認書や確認表の記載にも反映されます。一級建築士の関与を前提とした手続とご理解ください。

Q.用途変更にどのくらいの期間と費用がかかりますか

建物の規模、既存不適格の有無、必要となる工事の範囲によって大きく変わります。当法人ではお答えできませんので、建築士事務所にご確認ください。倉庫業登録の申請スケジュールは、用途変更の見通しが立った時点で逆算してご提案します。

Q.用途変更をすると検査済証は再交付されるのですか

交付されません。用途変更には完了検査という手続そのものが存在しないためです。建築基準法第87条第1項は法第7条第1項を読み替えて準用しており、工事が完了したときは検査を申請するのではなく、建築主事に届け出ることとされています。届出の期限は工事完了の日から4日以内で、指定確認検査機関で用途変更の確認を受けた場合であっても、届出先は倉庫所在地の建築主事となります。

したがって、倉庫業登録の添付書類としては、用途変更後の確認済証をご提出いただくことになります。建築確認済証と完了検査済証を一組で求められるのは建物そのものについてであり、こちらは新築時等に交付されたものを引き続き使用します。

なお、工事完了届は建築主事に対する建築基準法上の届出であって、倉庫業登録の添付書類として求められているものではありません。ただし、内装工事等を伴わない用途変更であっても、この届出自体は必要です。届出にあたって変更前後の写真の提出を求める行政庁もありますので、工事を伴わない場合の取扱いは、あらかじめ提出先にご確認いただくと手戻りがありません。詳細については、建築士や建設会社へお問合せください。

Q.検査済証がない建物ですが登録できますか

検査済証がない場合、用途変更の確認申請自体が受け付けられず、建築士による法適合状況調査などの手続が先行します。相応の期間と費用を要しますので、まずはその可否を建築士事務所にご相談いただくことになります。

Q.用途変更が不要と判断される可能性はどのくらいありますか

現況の用途と物件の所在地によります。同じような記載であっても、建築確認審査機関ごとに整理の仕方が異なることがあり、事前に確度を申し上げることは困難です。照会を経て判断が示されるまでは、いずれの結果も想定して準備を進めていただくのが安全です。

お問い合わせ

倉庫業登録に関するご相談は、法人のお客様に限りお受けしております。物件の建築確認申請書・確認済証・検査済証の写しや平面図をお手元にご用意のうえ、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

※ 本ページの記載は一般的な考え方を示したものです。個別の物件については、管轄運輸局および建築確認審査機関の判断によります。

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