2024年問題への対応がひと段落したのも束の間、物流業界にはすでに「次の大波」が迫っています。
令和7年(2025年)11月、政府は「貨物自動車運送事業法」の改正に伴う政令を閣議決定しました。これにより、新たな規制のスタートラインが「令和8年(2026年)4月1日」に確定しました。
今回の改正は、単なるルールの変更ではありません。「安ければいい」「運んでくれれば誰でもいい」というこれまでの商習慣を根底から覆す、非常に厳しい内容が含まれています。
本コラムでは、運輸法務専門の行政書士の視点から、今回の法改正が運送事業者様、そして荷主企業様にどのような影響を与えるのか、重要ポイントを3つに絞って解説します。
ポイント1:違法な「白トラ」利用で、荷主も処罰対象に!
これまでの法律では、許可を持たない白ナンバーのトラック(いわゆる「白トラ」)が有償で運送行為を行った場合、処罰されるのは主に「運んだ事業者」でした。
しかし、2026年4月1日以降はルールが激変します。
「違法な白トラ事業者に運送を依頼した荷主」も、新たに処罰の対象となります。
何が変わるのか?
これまでは「相手が許可業者かどうかなんて知らなかった」という言い訳が通用する余地がありました。しかし今後は、荷主側に「依頼先が適法な緑ナンバー事業者かを確認する責任」が重くのしかかります。
もし、違法な白トラ事業者に運送を委託している疑いがある場合、国土交通大臣から是正のための「要請」を受けます。さらに、その要請に従わない場合などは「勧告」が行われ、その事実と社名が公表されます。
「違法業者を使っていた企業」として世間に公表されることは、コンプライアンス(法令遵守)が企業評価に直結する現代において、致命的なレピュテーションリスクとなります。
対応策は?
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取引先の運送会社が許可証を持っているか、必ず現物や写しで確認しましょう。
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契約書に「反社会的勢力の排除」と同様に、「無許可営業の禁止(適法性の保証)」条項を盛り込みましょう。
ポイント2:「多重下請け」規制が強化。管理簿義務が「利用運送」にも拡大
物流業界の長年の課題である「多重下請け構造」の是正に向けた動きが、いよいよ最終段階に入ります。
一般貨物自動車運送事業者は令和7年4月から義務化済み
元請事業者が、最終的な運び手(実運送事業者)を記録する「実運送体制管理簿」の作成義務は、一般貨物自動車運送事業者についてはすでに令和7年(2025年)4月から始まっています。 「まだ作成していない」「運用が曖昧だ」という事業者様は、直ちに是正が必要です。
2026年4月からの変更点
そして、今回の改正(令和8年4月施行)により、以下の2点が強化されます。
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管理簿作成義務が「貨物利用運送事業者」にも拡大 これまでは対象外だった利用運送事業者(フォワーダー)も、今後は実運送体制管理簿の作成が義務付けられます。
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「2次請け制限」の導入 貨物自動車運送事業者および貨物利用運送事業者に対し、「再委託の回数を2回以内(実運送は3次請けまで)とする努力義務」が課されます。
これにより、電話一本で仲介手数料だけを抜くような「実態のない水屋」は、市場から排除されていくことになるでしょう。
ポイント3:フォワーダー(利用運送)にも「書面交付」が義務化
これまで、トラックを持たない「利用運送事業者」との契約は、口頭や曖昧な発注書で行われるケースが少なくありませんでした。
しかし、2026年4月からは、トラック事業者と同様に、利用運送事業者にも「契約締結時の書面交付義務」が課されます。
記載しなければならないこと
運賃だけでなく、以下のような項目を明確に書面(またはメール等)で交付する必要があります。
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運送の対価(運賃)
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有料道路利用料や燃料サーチャージ
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荷役作業(積み込み・取り卸し)や附帯業務の対価
「附帯業務はサービスでやってよ」という無償の強要は、運送法違反になるだけでなく、下請法違反(買いたたき)のリスクも招きます。
まとめ:許可取得には半年かかります。今すぐご相談を!
施行日の令和8年4月1日まで、残された期間はわずか4ヶ月です。
しかし、一般貨物自動車運送事業の許可を新規に取得するには、準備から許可が下りるまで通常「半年(約6ヶ月)」程度の期間を要します。
つまり、これから準備を始めても、2027年4月の施行には到底間に合いません。
とはいえ、
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「白トラ規制が始まる前に、自社トラックを緑ナンバー化したい」
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「法令順守のために、急ぎで許可を取りたい」
そうお考えの事業者様にとって、1日たりとも無駄にできる時間はありません。
行政書士法人シグマでは、運送業許可の新規取得を専門に、最短スケジュールでの申請をサポートしております。
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