【2026年4月1日施行】貨物利用運送事業者にも適用拡大!改正貨物自動車運送事業法で何が変わるのか?

令和8(2026)年4月1日、「トラック適正化2法」と呼ばれる法改正が一部施行されました。

この改正の中で、これまでは一般貨物自動車運送事業者(トラック事業者)を主な対象としていた規制が、第一種・第二種貨物利用運送事業者にも網羅的に課されることとなりました。

貨物利用運送事業者(いわゆるフォワーダーや利用運送業者)にとっては、今回の改正が自社に直接関係するものであることを正しく理解し、速やかな対応を行うことが求められます。本コラムでは、令和8年4月1日施行の改正内容のうち、貨物利用運送事業者に関係する規制について、国土交通省が公表しているQ&A(令和8年3月31日時点版)をもとに解説します。

1. 今回の改正の背景と全体像

貨物自動車運送業界では、多重取引構造や口頭による運送契約の締結が横行しており、これが適正な運賃・料金の収受を妨げる大きな課題とされてきました。こうした問題に対応するため、令和6年の「改正物流法(令和6年法律第23号)」によってトラック法(貨物自動車運送事業法)が改正され、主に一般貨物自動車運送事業者を対象に、以下の規制が令和7年4月1日から施行されていました。

  1. 運送契約締結時等の書面交付義務
  2. 健全化措置を行う努力義務・運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任義務
  3. 実運送体制管理簿の作成・保存義務

令和7年には、さらに「トラック適正化2法(令和7年法律第60号・第61号)」が成立・公布されました。この法律により、上記1〜3の措置が貨物利用運送事業者(第一種・第二種)にも準用されることとなり、令和8年4月1日から一部が施行されています。

2. 「元請事業者」となる場合の義務

改正法上の「元請事業者」とは、真荷主から貨物の運送を引き受けた貨物自動車運送事業者および貨物利用運送事業者をいいます。貨物利用運送事業者が真荷主(自らの事業に関して運送を委託する荷主企業等)から直接運送を引き受ける場合、その貨物利用運送事業者は元請事業者として扱われ、以下の義務が課されます。

(1)真荷主との相互書面交付義務

真荷主と貨物利用運送事業者が運送契約を締結するときは、双方が所定の事項を記載した書面を相互に交付しなければなりません(R8改正トラック法第12条第1項)。

書面に記載しなければならない法定事項は次のとおりです。

  • 運送の役務の内容および対価
  • 運送の役務以外の役務(荷役作業・附帯業務等)が含まれる場合は、その内容および対価
  • その他特別に生じる費用に係る料金(例:有料道路利用料、燃料サーチャージなど)
  • 運送契約の当事者の氏名または名称および住所
  • 運賃・料金の支払方法
  • 書面の交付年月日

注意点として、積込みや取卸し等の荷役作業は原則として「運送の役務以外の役務」に該当するため、運賃とは別建てで対価を設定し、書面に記載する必要があります。時間制運賃の場合はその時間内の荷役を包含することも可能ですが、その旨を書面に明記することが必要です。

書面の形式は問われません。契約書でなくとも、必要事項が記載された送り状、運送依頼書、電子メール本文なども活用できます。また、相手方の承諾を得れば電子メールやファックス等の電磁的方法による提供も認められます。

交付した書面の写しは、交付の日から1年間保存する義務があります。

(2)委託先への書面交付義務

貨物利用運送事業者が、自らが引き受けた貨物の運送について他の一般貨物自動車運送事業者等の行う運送を利用するときは、委託元から委託先に対して所定の法定事項を記載した書面を交付しなければなりません(R8改正トラック法第24条第2項)。

真荷主との相互交付とは異なり、委託先への書面交付は委託元から一方的に交付する義務であり、双方向のやり取りによる「相互交付」は認められていません。委託先に書面が到達しなかった場合や記載事項に不備があった場合は、書面の交付主体である貨物利用運送事業者に義務不履行の責任が生じることになります。

(3)実運送体制管理簿の作成・保存義務

元請事業者(貨物利用運送事業者が元請となる場合を含む)は、真荷主から引き受けた1.5トン以上の貨物について、他の運送事業者の行う運送を利用したときは、以下の事項を記載した実運送体制管理簿を作成し、運送完了日から1年間営業所に据え置く義務があります。

  • 実運送事業者の商号または名称
  • 実運送事業者が実運送を行う貨物の内容および区間
  • 実運送事業者の請負階層

「1.5トン」の判断は、真荷主から運送依頼があった時点の貨物重量で行います。実運送時の重量や混載の有無は関係ありません。

また、「真荷主から貨物の運送を引き受ける際に、元請事業者から実運送事業者に至るまでの一連の委託関係が明らかとなっている場合」(系列化等により取引構造が固定化されている場合など)は、貨物の運送ごとに作成する必要はなく、最初に一度作成すればその後は記録不要とされています。

実運送体制管理簿の様式は定まっておらず、既存の配車表を活用することや、電磁的記録(データ)による作成・保存も認められています。国への定期的な提出は不要ですが、監査やトラック・物流Gメンによる調査の際には提出が求められます。また、真荷主からの閲覧・謄写の請求に応じる必要があります。

(4)健全化措置に係る努力義務

貨物利用運送事業者が他の一般貨物自動車運送事業者等の行う運送を利用するときは、委託先の健全な運営を確保するための「健全化措置」を講ずるよう努めることとされています。具体的には以下の措置が努力義務として規定されています。

  • 委託先から運送に要する費用の概算額を把握した上で、当該概算額を勘案して発注すること
  • 荷主が提示する運賃・料金が概算額を下回る場合は、荷主に対し運賃・料金交渉の申出をすること
  • 委託先事業者が再委託を行う場合に、「再々委託の制限」等の条件を付すこと

これらの努力義務に違反しても罰則や行政処分はありませんが、違反原因行為をしている疑いがあると認められる場合は、トラック・物流Gメンによる是正指導の対象となります。

3. 一定規模以上の場合のみ課される義務:運送利用管理規程・運送利用管理者

前年度に行った利用運送のうち、貨物自動車を使用したものに係る貨物取扱量の合計量が100万トンを超える貨物利用運送事業者(第一種・第二種)には、以下の義務が課されます。

  • 運送利用管理規程の作成および国土交通大臣への届出
  • 運送利用管理者の選任および国土交通大臣への届出

ここで重要なのは、船舶・航空・鉄道を使用した利用運送は100万トンの算定に含まれないという点です。法令上「自動車を使用しないで貨物の運送を行わせることを内容とする契約によるもの」は除外されており、あくまでも貨物自動車(トラック)を利用した運送分のみがカウントの対象となります。国際フォワーダーなど、海上・航空貨物を主体としながら国内トラック手配も行っている事業者は、自動車部分の取扱量を正確に把握する必要があります。

運送利用管理者は、「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」(例:取締役)の中から1人を選任します。その職務は、健全化措置を実施するための事業運営の方針決定、管理体制の整備、実運送体制管理簿の作成事務の監督などです。

100万トンの判断基準は、貨物利用運送事業者の場合、毎年提出している貨物利用運送事業実績報告書の「取扱量」欄の数値によります(ただし自動車を使用しない契約分を除いた数値)。

国からの指定や通知はなく、各事業者が自ら判断して届出を行う必要があります。届出は一度行えば翌年度以降は不要(変更がある場合を除く)です。

運送利用管理規程の届出を行わずに事業を行ったとき、または運送利用管理者の届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は、百万円以下の罰金が科されることがあります。

4. 違法な白トラの利用禁止に係る荷主等への規制

令和8年4月1日施行の改正では、違法な白ナンバートラック(無許可・無届け車両)への運送委託を行った荷主等(元請事業者を含む)に対しても、新たに処罰の対象となる規定が設けられました。

なお、自己の業務に付帯して行われる運送など、許可・届出が不要とされる運送は引き続き白ナンバーでの対応が可能です。ただし、その判断は個々の事案ごとに行われますので、委託先が適法に運送を行っているかの確認が一層重要になります。

5. 対応のポイント:貨物利用運送事業者が今すぐやるべきこと

確認事項 内容
真荷主との契約 書面(または電磁的方法)での相互交付を行っているか
委託先への発注 法定事項を記載した書面を委託先に交付しているか
運賃と荷役の別建て 積込料・取卸料等を運賃と分離して書面に記載しているか
実運送体制管理簿 1.5トン以上・利用運送がある場合の管理簿を作成・保存しているか
利用運送量の確認 前年度の取扱量が100万トン超であれば規程・管理者の届出が必要
委託先の適法性確認 白ナンバー車による無許可運送を委託していないか

令和8年4月1日以降に行われる運送依頼(個別契約)には、施行前に基本契約を締結していた場合であっても、新たな書面交付義務が適用されます。早期に実務フローを整備し、取引先との契約内容を見直すことをお勧めします。

6. まとめ

今回の改正により、貨物利用運送事業者は、これまでトラック事業者に課されてきた書面交付義務・実運送体制管理簿の作成義務・健全化措置等の努力義務が広く適用されることになりました。取引の透明性を高め、多重下請け構造における不適正取引を是正することが法改正の趣旨であり、貨物利用運送事業者もその担い手の一翼を担うことが求められています。

参考資料:

  • 「改正貨物自動車運送事業法Q&A」(令和8年3月31日時点、国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課)
  • 「トラック運送業における適正取引推進ガイドライン(令和7年12月11日改訂)」(国土交通省)
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